6-10
そして、私は、いろいろと考えてたんだけど、もしかすると、ウチの仲間に入っていることが瑠衣へのいじめの原因にもなっているんだろうかと思ったりもしていた。
夏休みの最後の日。私は、思い立って、美容院に行ったのだ。
お母さんが帰ってきて、私を見るなり
「サダ・・ なによー その頭ー どうしたのー」
「ウン サッパリしようと思って」
私は、髪の毛をバッサリと切って、前髪はようやく摘まめるくらいだったけど、後ろと耳の横は刈り上げてスポーツをしている男の子みたいにしていた。
「サッパリって なんなのー 今まで、ちゃんとお手入れしてきたじゃーぁない! なにー それ お坊さんみたいじゃない なんでー そんな 勝手なことしてー お母さん 悲しいわー なんかあったのー」
「うん 心機一転 雑念を捨てて キヨーダイ 目指すの」
「・・・ 悲しい お母さんは あなたの考えてることわからない あぁー 悲しいワー」
始業式の日、当然、私の姿を見たクラスのみんなは声が出なかったみたいだった。そして、私は、多分、普段から瑠衣に辛くあたっているだろうと思われる天野結華を校門の出たところで待っていた。彼女は友達と二人連れで出てきたけど、構わないで私は声を掛けていった。
「天野さん」
「・・・」振り返った彼女は、私のことがわからなかったのだろう、私の頭を見て、キョトンとしていた。
「あのね 瑠衣のこと お願いがあってね」
その時、ようやく私のことが認識できたみたいだった。
「あっ サダさん・・・ 瑠衣のこと・・ ウチ 関係ないですよ 知りませんから 何 聞いたのかわからないですけど・・」
「いいのよ この前のことは・・ 瑠衣も誰からやられたのかしゃべらなかったわ だけど、天野さんなら瑠衣と仲良くしてもらえるんじゃぁないかなって あの子 優しいのよ 良い子よ だけど クラスの中で女の子は誰も 相手してもらえないので、男の子しか話相手いないんだって おとなしい性格でしょ、引っ込み思案で・・仲良くなりたいのは女の子なんだけどー 自分からは話し掛けられないでいるの ねぇ ウチからのお願い 天野さんから 普通に お友達になってあげて 人思いだし、とってもいい子なんだよ」
「・・・そうなんですかー あの時のこと なんにも、しゃべらなかったんですかー」
「ウン 自分が みんなに打ち解けないから 悪いんだって 言ってた 他の人を悪く言うような子じゃないよ 自分があんな目にあったっていうのにーネ お願い あの子ウチらの仲間なんだよ ほっておけないんだよね わかる?」
「サダさん・・」
「わかってくれたかなー お願いします 瑠衣のこと ウチもナ 決心して、髪の毛 切ったんだよ その為じゃーないけどね 心機一転」と、頭を下げて頼んでいた。
「わかりました サダ先輩 もう、頭あげてください それにその眼で見つめられたら ウチだってー それにね ウチ 瑠衣のこと嫌いってわけじゃぁないんですよ だけど、男の子達と話しているの見たら、ついイライラしちゃってー ごめんなさい」
そして、次の日。お昼休みに集まった時、瑠衣が
「サダ姉さん 結華ちゃんが 妙に、話し掛けてきてくれて、ゴメンだってー ウチのこと、よく見てなかったってー サダ姉さんが言ってくれたように 強い心を持っていて良かったー」
「そうかー 瑠衣 良かったなー ・・・サダ姉さん なんか したんやろー? やっぱり、茜姉さんが見込んだだけのことあるみたいやなー それに、急に そんな頭になってしもーてー 迫力あるのー」と、久美が私の顔をのぞき込んで、ニャーっと笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます