第36話 綺麗に食べようね?

 どうしてこんな事になっているのか……。


 それをダイ達に説明したところ、尤もな返答を頂いた。



「別に嫌いだったらお互い食べなきゃ良いんじゃないですか?」



 ダイよ。その通りだ。その通りだけなんだけども……。


 俺は久満子ちゃんに分かってもらいたかったんだ。



「相手の好きなものを否定するのは良くないと思います。」



 ですよね。ジャンヌの言う通りかもしれない。



「私は神様と同じシメジで。」



 やっぱサリリは分かってるよな……。いや、媚びてるだけか?



「久満子ちゃん……俺が間違ってたよ。ごめんな。」


「私こそ……。いっぱい言い過ぎちゃったね。」



 俺達は互いに謝罪し合い仲直りした。



 それでは気を取り直して、100万上げる君を使おう。問題はどう振り分けるかだが……。


 皆の意見を聞いてみよう。



「100万上げる君を使いたいんだけど、どう振り分けるのが良いと思う?」



 久満子ちゃんは使い切るのではなく、必要分を使って後は残せば良いと言った。


 ダイ達もそれで良いようだ。


 決まりだな。



「ダイ、サリリ、ジャンヌへ100万上げる君を30個ずつ使用。」



 “シメジ”のチョコレートを黙々と頬張るダイ達。


 彼らの目はいつも通りハイライトが消えている。そして手と口がチョコレートでベトベトだ。



 久満子ちゃんは、やっぱキモ……と小さな声で呟く。


 オイ、聞こえてるぞ。





【100万上げる君を使用し、存在強度を下記の通り強化しました。

 魔王ダイ:30,000,000

 外道使いサリリ:30,000,000

 ジャンヌ:30,000,000】



「ステータス。」


<仮想世界システム>

 創造神ああああ:ランク218

 WP:100,017,145,920P

 同盟者 彼女お貸しします


 購入

 売却

 環境設定

 生命の存在強度

 世界へ介入

 履歴

 対戦モード


 生命体の数:752,474,636


 強者リスト 一位 魔王種始祖吸血鬼ダイ:存在強度50,474,251

       二位 魔王種魔法少女㈵外道使いサリリ:存在強度44,344,254

       三位 始祖吸血鬼ジャンヌ:存在強度41,337,526

       四位 シロクマ:存在強度330,520

       五位 シロクマ:存在強度330,511

       六位 シロクマ:存在強度330,503

       七位 シロクマ:存在強度330,482

       八位 シロクマ:存在強度330,455

       九位 シロクマ:存在強度330,454

       十位 中型亀カメキチさん:存在強度85,431


           以下省略


 アイテム  不老不死薬 3個

       100万上げる君 410個





「ぶっちぎりだな。」


「一位の人相手でも瞬殺じゃない?」



 多分そうだと思う。



「よし、それじゃあ早速……。」


「待って!」



 何だ?



「ちゃんとダイ君達を見てあげて。」



 久満子ちゃんってば急に何言ってんの?


 そう思って俺は魔神軍へ視線を向けると……。



「うっそだろ……?」



 ダイ、サリリ、ジャンヌ……全員の顔にチョコレートがべっとり。


 その他……ダイはおでこや腕だったり、ジャンヌはおっぱいだったり、サリリは一体どうやったらそうなるのか……うなじや太ももにまでチョコレートが付いていた。


 食べ方汚すぎるだろ……。


 というか、もはや食べ方とかそういう問題かこれ……?


 全員これから叱られるのが分かっている子供のように俯いている。


 子供の方が綺麗に食べるけどな。



「もしかして……チョコレート上手く食べられなかったの?」



 俺はダイ達を傷つけないよう優しく問いかける。



「はい……。」

「すみませんでした。」

「美味しすぎて喧嘩になっちゃいました。」



 いつ喧嘩したんだよ。全然気付かなかったぞ。


 話を聞くところによると、食べ終わって意識を取り戻した彼らは、自らの手や口に付いたチョコレートを奪い合い取っ組み合いになっていたらしい。


 だからってそうはならんだろ……。どんだけチョコレート食いたかったんだよ。



「後で買ってあげるから、もう喧嘩はしないように。それと、ちゃんとお互いに謝って。」



 ダイ達はしっかりと互いに謝り仲直りしていた。



「これお風呂に入れなきゃダメだね。」


「そうだな。」


「お風呂の入り方教えてあげるから付いてきて。」



 そう言って久満子ちゃんは皆にお風呂の入り方を教える。


 仕方ないから、あいつらに何か買ってやるか。考えてみたら、今まであいつらには碌なもの食わせてやってないもんな。



「チョコレートだとまた汚すから……。スナック菓子一覧。」



【スナック菓子】


Oh!イモチップス:120WP


Oh!Jack!!:120WP


つっぱりコーン:140WP


ガール:135WP


勝手海老せん(依存性有り):120WP





 依存症になってもいけないから勝手海老せんは無しだな。


 それにしてもこのショップ、いちいち余計な物が検索に引っかかるんだが。



「勝手海老せん以外を五個ずつ購入。」



【2,575WPを消費しスナック菓子20点購入しました。】



 大きな段ボール箱が空中から現れる。


 せっかくだから他にも何かないかな……。


 そうだ。空中に現れるディスプレイで映画とか見れるんじゃないか?



「映画とか見れる?」



【動画配信サービスが月額たったの500WP!】



 急に広告くさくなったな……。



「契約で。」



【ご契約ありがとうございます。毎月新しい動画が更新されますのでお楽しみに。】



「あいつらがお風呂上がるまで何か見とくか……。」



 俺は早速動画を見始めた。

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