第22話 恐竜って、竜なの?


「次はランク差100に挑戦してみようか!」


「うーん。となれば相手のランクは244かぁ……。大丈夫かなぁ?」


「いけるいける! 今回はたまたま変な奴がいたけど。あんな奴そうそうないって!」


「そっか。そうだよね!」


「うんうん。」



 前回は偶々イレギュラーがあっただけで、俺の予想では全然いけると思う。それに久満子ちゃんの世界は時間の流れが早送りになっているお蔭で、傷ついた皆もすっかり回復している。



「それじゃあ、ランク244と対戦します。」



【ランク244の相手と対戦モードに移行しました。

 接続中…………。

 土下座衛門との対戦が受理されました。侵略ゲートの場所を指定して下さい。】




 きっと謝罪ばかりの人生なのだろう。



「ゲートは獣王の前でお願い。」



 獣王と魔王軍の前に侵略ゲートが召喚される。


 ゲートの先には見た事のない植物が生い茂り、ギラギラと太陽の光が地表を照らしている。


 そこには、太古の昔栄えていたであろう生き物。恐竜達が暮らしていた。



「恐竜だ! 見てよ久満子ちゃん!」


「うんうん。良かったね。」



 喜んでいる俺を見て笑顔で答える彼女。あまり恐竜には興味がないようだ。



「今回は恐竜が相手って事かな?」


「捕まえたいな……。」


「餌はどうするの。用意するのも大変なんだよ?」



 ペットを欲しがる子供に諭すように言われてしまった。


「私の世界にはいらないよ? 自分が対戦した時にして下さい。」



 う……。仕方ないか。



 我らが混成軍は恐竜達を物珍しそうに眺めながら進んでいく。


 恐竜世界でサバイバル生活か……。彼らには一体どんな冒険が待ち受けているのだろうか?


 俺はワクワクしながら映像を見続ける。



 混成軍は大きな川まで辿り着いた。辺りにはたくさんの恐竜たちが水を飲みにやってきていたのだが、彼らが姿を見せると今まで大人しかった恐竜達が一斉に襲い掛かってきた。



「え? なんで?」


「なんでだろ?」



 次々と襲い掛かってくる恐竜を打倒していく。恐竜達は存在強度が大体100,000くらいだった。


(今更この程度の相手にやられることはないと思うが……。)


 一頭だけ奥でそれを眺めている恐竜がいる。確認すると頭上には竜王ティラノサウルスと表示されていた。


 恐竜っていうくらいだし、ドラゴンとかと同じ竜種に分類されてるって事?



「あの竜王がボスなのか?」


「名前に王が付くのって魔王を除けば種族毎に一体だけらしいから、恐竜のボスって意味ではそうなんじゃないかな?」


 獣王がいる久満子ちゃんならではの解説だ。ホントに助かる。



 暫く戦いを眺めていたら、既に竜王だけとなっていた。竜王は凄まじい勢いで彼らに突進していき、皆それを避ける。


 速い。


 獣王とジャンヌは避けるのがギリギリだった。



「結構強そうだね。」


「うん。大丈夫かな?」


「まっ。大丈夫でしょ?」



 戦闘は拮抗している。即席のチームプレイにしては上手く戦えているな……。


 ん? 待てよ? このメンツと戦いが成立してるって事は、相当強いのか?



(なあ、サリリ。もしかしてその竜王って強いのか?)


(いえ。ダイくんと私だったらさほど苦労せず倒せます。)


(拮抗してるじゃん?)


(ジャンヌと獣王に経験を積ませる為です。彼女達より竜王は強いですよ。ダイくんと私はサポートのみです。)


(わかった。宜しく頼む。)


(はい。任せて下さい。)




「ダイとサリリは獣王とジャンヌに経験積ませる為に、サポートだけしてるそうだ。」


「あー良かった。勝てないかと思っちゃったよ。」



 ジョーダンさんがポロリと洩らした情報だと、ランク1180で存在強度20,000,000の奴がいるらしいから、大雑把な推測を立てるとランク100毎にプレイヤーの持つ最高戦力の存在強度が1,670,000くらい増えていくという計算になる。


 つまりダイとサリリが居ればランク300くらいまでなら勝てるだろうと俺は予測していた。計算通りにはいかないかもしれないが、それ程この予測は外していないと思う。


 現に、ジャンヌより強く、ダイより弱いというこの竜王。大体3,500,000~5,000,000くらいだろう。


 恐らくランク400ともなれば、ダイやサリリと同格かあるいはそれ以上の奴が現れるようになると思われる。



「やったー! 勝ったよ!」



 考えているうちに戦闘が終わったようだ。




【土下座衛門が降参しました。勝利報酬として1,000,000WPが与えられます。

 あなたは創造神ランクが153になりました。おめでとうございます。

 格上討伐報酬として10万上げる君を40個進呈します。】




 恐らく相手は向こうで謝り倒しているに違いない。


「戦果を確認だね。」


「うん!ステータス。」



<仮想世界システム>

 創造神彼女お貸しします:ランク153

 WP:5,391,160P

 同盟者 ああああ


 購入

 売却

 環境設定

 生命の存在強度

 世界へ介入

 履歴

 対戦モード


 生命体の数:12,291,560,217


 強者リスト 一位 獣王シロクマ:存在強度3,094,892

       二位 黒いシロクマ:存在強度1,008,987

       三位 シロクマ将軍:存在強度781,032

       四位 シロクマ6 :存在強度430,451

       五位 シロクマ51:存在強度392,243

       六位 シロクマ19:存在強度350,777

       七位 シロクマ73:存在強度334,002

       八位 シロクマ84:存在強度332,745

       九位 シロクマ86:存在強度331,494

       十位 シロクマ92:存在強度331,246


              以下省略


 アイテム  10万上げる君 40個





「そう言えば、ランク差50と100を倒したんだから特殊個体作れるようになってるんじゃない?」


「なにそれ?」


「特定の種族を20倍強化した状態で生み出せるらしいよ? ヘルプに自分から聞かないと教えてくれないけどね……。」


「私、シロクマ以外だったら別にいいかな?」


「まぁ、そう言わず確認してみてよ。」


 彼女は大五郎君がそう言うなら……と言って聞いてくれた。


「私が選べる特殊個体を教えて。」




【特殊個体】


 フェニックス:3,000

 家出少女:13 







 ん??

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