三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太

一年生篇

四月篇

第1話  4月、高校1年生の春

 電車の発車時刻が近づき、一人の男子高校生が、ギリギリセーフで、車内に乗り込んだ。


「ふぅ……。セーフ、セーフ」


 新品の制服は、ピカピカの新一年生の証拠である。


 今日から電車で約三十分かけて、二つ隣町の高校に通う事になった男子高校生・有村敦也は、朝の六時四十五分発の電車に乗っていた。


 今日は、県立高校の入学式であり、初日から遅刻しないように早めの時間帯の電車に乗った。


 四月のこの時間帯は、まだ、薄暗く、車内にいる人は、電車通の学生か、社会人しかいない。


「今日から俺も、とうとう高校生なんだ。なんだか、楽しみだな」


 ワクワクしている敦也は席に座り、スマホにイヤホンを差し込んで、目的地の駅まで、音楽を聴きながら、高校初日の登校を一人で楽しんでいた。


 車内は、結構空いており、静かでエアコンの音が聞こえるくらいだ。


 電車は、各駅に停まりながら、敦也が通う高校の町の駅に停車する。


 駅の構内に降り、そのまま、階段を降りて、一階の改札口を抜ける。


 自分の住んでいる町とは違い、この町は、県内で四番目に大きな町である。


 駐輪所に向かうと、自分と同じ制服を着た学生が自転車に乗って、学校へ向かおうとしていた。


 おそらく、この時間だと、学校の先輩だろう。


 他にも違う高校の生徒がいた。


 高校受験と入学案内、自転車の移動の合計三回しか、この町に来たことがない。


「今日から俺の新しい学校生活が、始まるんだ!」


 そう心に刻み、敦也は、新しい自転車に乗って、今日から通う高校へと走り出した。

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