第24話 正しい嫌な事。

 イヤなコトをするのは、イヤですよね? 私は常に、全力で逃げます! どう言われようが、イヤなコトは、イヤ! でも……。


 今日は、私の大好きな「イヤなコトの話」を書きます。


 知り合いのクルタン(仮名)は、10代の女子です。彼女は、数学が死ぬほどキライです。どれくらいキライかと言いますと「157+421は?」と3ケタの足し算を聞いただけで「やめて!」と、 泣くほどキライです。そして、絵を描くのが大好きです。ペンと紙さえあれば、ずうっとご機嫌で絵を描いています♪


 彼女が進学先を美術系の大学にしたのは、自然な流れです。「絵を描きたいから、絵の大学に行く」。保護者は理解のある方なので進学先は彼女の希望校に、すんなり決まりました。問題は、入試試験です。彼女はお勉強が、壊滅的にできない。特に、数学。

美術大学なので、理数系の大学に比べて数学の点数が低くても何とかなるのですけれど、それでも限度ってもんがある。

「数学、頑張らないとね」と彼女に言うと「わかってる!」と言いながら、絵を描いています。大丈夫なのか??


 ある日、彼女は泣いていました。天真爛漫なクルタンが泣いてるっ⁉ 私はギョッとして、彼女に駆け寄りました。

「どうしたのっ⁉」

彼女は黙って、読んでいる本を差し出します。数学の問題集です。

「数学、しんどいの⁉ しんどいなら、やめたら?」

彼女は首を横に振ります。

「やる。 数学の勉強、する」

「なんでっ⁉ 苦手じゃん! 泣くほどしんどいなら、やめたらいいじゃん⁉」

「やる。絵を描きたいから、大学に行きたい。大学に行くには数学で点数取らないといけないから、やる」

「数学、キライなのに?」

「数学はキライ。でも絵をスキな気持ちが、キライより大きい。だから、やる」

「そっか。キライより、スキが勝つのか。それなら応援するよ」

「うん」


 この時から私は、イヤなコトをするか? しないか? を考えるときに、

「イヤなコトに勝つくらい、スキなコトがあるか?」で判断するようになりました。

もしスキなコトがあるなら、頑張る。ナイなら、全力で逃げる。

私よりずっと若いクルタンに、教えてもらった大事なコトです。


クルタンは無事に合格して、大好きな絵を描いています。

クルタンにもアナタにも、イイコトありますように☆














  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る