第075話 子供だまし ③

肌を刺す寒風を凌駕する狡辛こすからい子供だましが、彼女の心を凍えさせていた。


ガクッ。

地べたに膝をつく。


アニメの変身スティックをクリスマスプレゼントに強請ねだったのは、ヒロインへの憧れではなく、

(これでもう、洋服を買う、時間もお金も節約できる)

と、思ったからだ。


もう玩具メーカーなんて信じない。




★☆★


こんな子供はいないって?

それがねぇ。いたんだよ。

ここに。🙄


特定の衣装ではなく、TPOに合わせた服に変身するアニメだったのだ。


(もうこれで、一生、服を買わなくていいぜ)

と、ウキウキしながら、スイッチON。

ライトがピコピコ点滅するけど、服が出て来る気配がない。


マジで膝から崩れ落ちたね。

ちくしょう。



 こんな物を欲しがるなんて、さぞ着道楽だったのだと思われるかもしれませんが、実は、子供の頃、洋服売り場(デパートの2階とか3階とか)の匂いが、大嫌いだったんです。

 なんか、乗り物酔いのような感じで、気持ち悪~くなってた。

 母と姉があれこれ物色してる中、マネキンの台に座ってたりしてたのさ(殆ど、行き倒れ状態^^)。

(その頃、父は、デパートの前のパチンコ屋に行ったり、電気屋のTVでスポーツ番組見てたりしてたな)


私自身は、姉のおさがりの服が、大好きだった。

(い~感じに、だる~んと着やすくなってるんだよね)



甥っ子に、

「これつけても、変身できんのよ」

って、言ったら、

「そんなん解っとるよ。当たり前やん」

って、素で返された。


ちくしょう。

私より、大人だ。



あ~。

なんか、色々、思い出してたら、長文になってしまった。



ちなみに、これが1作目だが、これが一番、朝向けだったんで。



☆★☆


次のお題は〖真空〗

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