第044話 代わり

 をふぅ。

 やーらけぇ柔らかい

 ちょい汗で湿っとーけど、

 若い肌ってえーなぁ。


 って、オイッ!

 儂、もう、片足、棺桶、突っ込んどるけど、

 自分の手ぇ握っとんが、男か女かも解らんわけやないで。


 愚息王太子は、どしたんや?

 何、身代わり、立てとんねん。


 お前神官らも、気付け!

 儂、死んだら、速攻、代替わりの儀、じゃろが!



 ★☆★


↓なんか、舞台裏を書いてたら、長くなりすぎた。(;^_^A



 且つて、非道の限りを尽くした『愚王』を倒し、国に平和と繁栄をもたらした『賢王』だったが、そうした直後は、『簒奪者』の汚名がついて回った。それから逃れる為に彼は、『愚王』の末娘と結婚し、前王朝との融合を図る事にした。


 末娘 ── 当時、0歳(胎児)。

 『愚王』の戯れで、身分の低い召使いが孕んだ彼女は、後顧の憂いを絶つ為に、産まれ出でると同時に殺される筈だった。


 30歳の『賢王』は、彼女が女として生まれた事を喜び、王妃に迎えた。

 時が過ぎ、真の夫婦の契りを交わしたからといって、すぐに子供ができるとは限らない。王妃は、夭折した赤子と、3人の王女を産んだ後、賢王61歳の時、命と引き換えに王太子を産んだ。

 王太子は、すくすくと大きくなり、父の治世によって豊かになった国で、『毎日が、ジュリアナ東京』なバカ息子に育った。


 能臣に愛され、国民にも慕われ、還暦まで子作りしていた彼も、老いには抗えない。

 寝所から執務室へ移動するのもままならなくなり、中庭に面した、洋風『清涼殿』が、彼のついの居場所となる。

 洋風 ── つまり、天蓋付ベッドで寝て、中庭に面した窓は、掃き出し窓にカーテンだ。


 王が話せる内は、入室を許可された大臣達も、最早、身を起こす事もできなくなってからは、部屋に入る事を許可されたのは、神官達と親族のみ。

 王の娘達は、他国に嫁いだり、臣籍降下して家臣と結婚していたので、王の寝床に侍る事ができる親族は、王太子のみ。

 しかし、文武百官、手がすけば中庭にやってきて、王の復活を願いながら様子を伺っている。カーテンで遮られただけの室内だ。誰かまでは解らずとも、シルエットは見える。王太子が、王の横にいなければ、すぐにバレて「殿下は何処へ?」。

 仕事、自然現象、食事以外の理由で離れていると、『不孝者』と白い目で見られる。


 王太子にとっても父親だ。もちろん。敬う気持ちはある。だがしかし、根がパリピなギリギリ十代の王太子。四六時中、それだと息が詰まる。


 ついに、我慢の限界を迎え、遊びに行こうとしていたのを、婚約者に諫められた。

「え~い!うるさい!そんなに親父の傍にいきたいなら、お前が代わりに行きゃいいだろ!」

 文武百官には言われっぱなしの王太子だが、言い返したこの言葉に、自分で「名案だ!」と自画自賛。

(そうだよ。そうすりゃ、いいんじゃん。どうせ、神官達は祈ってるだけだし、バレたところで、他人の入室を許した、となれば、非難轟々だから、隠すじゃん)

 と。


 男装させられ、禁所に入れられた婚約者は、手汗(だけでなく)、びっしょりざんす。

 彼女が、王になった王太子を『愚王』として廃し、『賢女王(幼い息子の摂政?)』に立つ日は近い?


『賢王』の言葉がこうなのは、それが地だから(笑)


ってのを考えたんだけど…

(;^_^A



 ☆★☆


 次のお題は〖冷凍庫〗

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