第10話

 暇を極めていた僕……だが、流石にずっと第二皇子のところで遊んでいるわけには行かない。

 第二皇子の担当する領地が変わり、新しい領主が来てもなお居座り続けた僕だったのだが、とうとう宰相から帰ってこいというキレ気味の返信が来たタイミングで僕は帰ることになった。


「ようやく帰ってこらえましたか……」


「まぁ、別に僕が絶対にこなさなきゃいけない仕事なんて大してないんだし別によくない?」


「皇帝陛下が執務なされたほうが早く終わるのですよ」


「……僕に頼るきるの辞めてほしいんだけど」

 

 僕は宰相の言葉に対して不満を漏らす。


「あなたが大規模に貴族を荒らしたせいで人手不足なんですよ」


「新しい人を育てるんだよ?当たり前でしょ?」


「……確かに当たり前にございますね。ですが、人材の育成には時間がかかるのですよ。ご存知ですか?」


「僕は天才だからわかんないや。たった一人、独学で勉強して頂点にまで極めたから」


「……」

 

 嫌味たっぷりな僕の言葉に宰相は頭を抑える。


「さて、と。遅れている仕事をちゃちゃっと終わらせて、その後は外交関連をやっていくから」


「左様にございますか。それでは、皇帝陛下の補佐官にただいま変わりますね」

 

「うん。よろしくー」


 宰相が退出し、その交代で補佐官……サーシャがやってくる。


「お久しぶりです」


「うん。おひさー。じゃあ、書類の束をここに置いて」


「はい」


 サーシャが僕の示した場所に書類を起き、自分の席へと腰を下ろす。


「さーて。さっさと仕事を終わらせていこうか」


「はい」

 

 僕はサーシャと協力して常人であれば優に一週間ほどかかる仕事を半日程度で終わらせた。

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