第22話
「お父様……婚約を認めないって一体どういうこと?」
夕食後。
とある一室でフォルザーとマリーが向き合っていた。
「君はよく言っていたではないか。愛のない婚約など御免被る、と」
フォルザーが口にするのは良くマリーがフォルザーに話していた言葉。
その言葉をフォルザーはマリーへとぶつける。
「えぇ。当然よ……それはどうかしたの?」
「だからだよ」
「……?」
「だから認めないと言っているんだ。良いか。アルミス君は決して君のことなど好いていないよ」
「……は?」
マリーはフォルザーの言葉を聞いて固まる。
「何を言っているの?そんなわけないじゃない。私とアルミスは昔から婚約者で好きだって言い合ったし、き……き、キスだってしたのよ?アルミスが私のこと好きじゃないなんてありえないじゃない!」
「じゃあ、なんで彼は女の子を二人も連れ帰ったんだ?」
「……殺す」
「は、ははは」
殺意が一気に膨れ上がったマリーを前に実の親ながらもドン引きしつつ、見なかったことにして口を開く。
「それだけじゃない。彼はいの一番に君のところに来なかったし、婚約が解消されていると平然と話していた」
「そ、それは……て、照れ隠しだし……」
「だとしたらまったくもって可愛くない照れ隠しだね……動揺している様子が一切見えなかった……そして何より」
フォルザーは一度言葉を切り……まっすぐマリーのことを見つめてから再度口を開く。
「アルミス君自身が君のことが好きではない、とはっきり言っていたよ」
「嘘……嘘だ嘘だ嘘だッ!そんなことッ!!!」
マリーはフォルザーを睨みつける。
「そんなの嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」
「マリーッ!」
マリーは全力で叫びながら部屋から出ていってしまった。
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