美少女だらけの姫騎士学園に、俺だけ男。～神騎士ＬＶ９９から始める強くてニューゲーム～

第78話 ユリーナ、キララ、クララの関係

「おいしー！(^^♪　すごくおいしー！(^^♪」

「よかったな」

「おにーさんは優しーから、キララ大好きー！(≧▽≦)」

「あはは、ありがと」

　俺は一人っ子だからイメージでしかないんだけど、なんだかキララは年の離れた妹みたいに感じてしまうな。

「ねーねー、お代わりしてもいい？(*'▽')」

「ユリーナ、お代わりしてもいいか？」

「構いませんわ。ですが、あと１つだけですわよ。あなたは食べるとなると、際限なく食べてしまうんですから」

「はーい！(^o^)／」

　キララが小学生に負けないくらいに元気よく返事をした。

「ところで」

「なんでしょうか？」

　笑顔でお代わりのゼリーを食べるキララにほんわかさせられつつ、俺はここに招待されてからずっと感じていた疑問をユリーナに尋ねた。

「さっきから見ていると、ユリーナは座って指示をしているだけに見えるんだけどさ」

「そうですわよ。それがどうかいたしましたか？」

　おや？

　さも当たり前のように、さらっと返されてしまったぞ？

「だって、ユリーナは俺のお世話係なんだよな？」

　なのに座って指示をしているだけとは、これいかに？

「ええ。ですからわたくしは、わたくしの信頼できるメイドに指示を出して、ユウタ様のお世話をいたしているのです」

「メイドの手柄は主人の手柄ってか。これがジャイアニズムか」

「ジャイアニズム……初めて聞く言葉ですわね？　どういう意味でしょう？」

　ユリーナが優雅な仕草で小首をかしげた。

「ああいや、こっちの話だ。忘れてくれ」

　ちなみにジャイアニズムとは、未来の世界のネコ型ロボットでお馴染みの某国民的アニメに登場する「お前の物は俺の物。俺の物も俺の物」というフレーズで有名なガキ大将に由来する言葉なんだけど、さすがにこの世界では通じなかったか。

　まぁ今はそれはいいか。

　と、そこで。

「カガヤ様。メイドの仕事とはそういうものなのです」

　スプーンを握りしめ、はしゃぎながら食べるキララとは正反対に、とてもお上品にゼリーを口に運んでいた――『食べる』よりも『口に運ぶ』という優雅な表現の方が適切だ――クララが絶妙なタイミングで話始めた。

「そういうものなのか？」

「はい。全ての物事に通じた、いとやんごとなきユリーナ様とて、悲しいかなお身体は１つしかありません。全てをこなすことは物理的に不可能です」

「まぁ、そうだよな。人間誰しも身体は１つだ」

「メイドはその一部を肩代わりしているのですから、つまりメイドの行為はご主人様であるユリーナ様の行いとなるわけです」

「なるほど、そういう理屈か」

「今もユリーナ様には、カガヤ様の隣でお話のお相手をするという、欠かすことのできない大事なお役目があります。よってそれ以外の些事を、私たちメイドが行っているというわけです」

「ユリーナ様はすごくすごいから、当然キララたちみたいな優秀なメイドが必要なの(*'ω'*)b」

「ははっ、そうだよな」

　さすがにこの話の流れで、「キララは姫騎士としては優秀だけど、メイドとしてはあまり優秀ではないよな？」などとは言わない。

　これで主従がうまく回っているのなら、きっとこれがユリーナと２人のメイド姫騎士の理想の関係のはずだから。

　よく分かっていない俺が、ありきたりの常識で口出しするのは余計なお節介もいいところだろう。

　その後。

　本来はシャワー室しかないはずの学生寮の部屋に、特別仕様でしつらえられた広くて豪奢なバスルームで、俺は久しぶりに湯船につかった。

「あー、気持ちいい……生き返る……のんびりとお湯につかるだけで、身体も心も一気にリフレッシュするよなぁ……」

　思わず独り言も出ちゃうってなもんだ。

「やっぱり日本人にはお風呂だよな。シャワーだけじゃちょっと物足りないよ。あー、マジ気持ちいい……身体の芯から癒される……」

　俺は黄金のライオン像の口から湯船へと注がれるお湯を、何をするでもなくぼーっと眺めながら、久しぶりのお風呂を心行くまで堪能した。