第76話 お試しお世話係ユリーナ
1年生タッグトーナメントから数日後の夜。
俺はなぜか学生寮にあるユリーナの超豪華な部屋にいた。
なぜかって言うか、ブレイビア学園からの正式な指示を受けたからなんだけれども。
なんでもユリーナの実家のリリィホワイト家が、ユリーナをお試しお世話係にするように、強く要請してきたらしい。
『ブレイビア学園に対して、資金は出しても口は出さないを基本方針としているリリィホワイト家が、珍しくかなり強い意向を伝えてきたんです』
なんてことをエレナ会長が苦笑交じりに言っていた。
リリィホワイト家はブレイビア学園に対して毎年、それはもう莫大な寄付をしているらしい。
しかし普段は運営に干渉することはまったくないのだという。
まさに理想的なパトロンだ。
そんなリリィホワイト家からの滅多にない強い要請ということもあって、さすがのエレナ会長も断り切れなかったんだと。
なので今晩1日だけ、俺はユリーナの部屋にお泊りして『お試しお世話係』をしてもらうことになったのだ。
ま、まぁ?
ユリーナは清楚系美人で、お姉さん系お嬢さまだし?
ちょっと気の強いところも魅力的だし?
そんなユリーナにお世話係をされるというのは、全然嫌じゃない――どころか正直嬉しくはあるんだけども。
俺も男の子なので、清楚系美人のお姉さん系お嬢さまは普通に好きなんだよ。
だけどユリーナとバチバチライバル関係なアリエッタが、ユリーナに1日お世話になると知った途端に不愉快ムカ着火ファイヤーしていたので、あまり手放しでは喜べなかった。
ちなみに超豪華な部屋というのを具体的に説明するとだ。
広さはアリエッタと俺が同棲(俺は共同生活ではなく同棲と言い続けるぞ!)している部屋の10倍くらいあるし。
上の階をぶち抜いていること間違いなしの高い天井には、どこの高級ホテルだよって感じのでかいシャンデリアがきらびやかに輝いていているし。
壁にはいかにも名画と
「この部屋、ほんとすっげーな……」
座り心地が抜群の高級ソファに座りながら、今日何度目か分からない感想を漏らした俺の隣には、部屋の主であるユリーナがメイド服を着用して座っていた。
メイド服……なんだと思う。
白と黒を基調していて、エプロンも付いているから。
しかし超が付くミニスカとニーソックスは、太ももの付け根近くの際どい部分を絶対領域として強調していたし。
胸元は大きく開いていて、ユリーナのナイスバディをアピールしているし。
生地は妙に薄くて身体にフィットしているし。
つまり大変にエッチみが深いメイド服を身に付けながら、ユリーナは俺に身を寄せるようにして座っていたのだ。
キララとクララのダブルメイド姫騎士も、普段から結構露出多めの可愛いメイド服を着ているが、これはさらにその上を行くぞ!(キリッ!)
しかもその2人も、今日はユリーナと同じエッチみの深い扇情的なメイド服を着用しているときた。
くっ!
俺の眼前に、3人のエッチメイドによる『すごすごエッチメイド空間』が広がっている!
「ユウタ様、喉が乾いておりませんか?」
俺の腰に右手を回しながら、体重を預けるようにしなだれかかってきているユリーナが、大きく開いた胸元を見せつけるように押し付けながら聞いてくる。
ふよん♪
と柔らかな音が聞こえた気がした。
「ま、まあ少しは」
「それはいけませんわね。クララ、この前のお紅茶をユウタ様にお出ししなさい」
「かしこまりました、ユリーナ様」
ユリーナの指示を受けて、クララが手際よく紅茶をいれてくれる。
それはもう高級そうなクッキーとともに出された紅茶を一口、口に含むと爽やかな味わいが口の中に広がっていった。
「おおっ!? なんだこれ!? すごく美味しい!」
「お口にあったようで何よりですわ。この紅茶の茶葉は──」
茶葉にまつわるうんちくをユリーナが楽しそうに語り始める。
俺はそれを高級クッキーを美味しくいただきながら聞いた。
基本的に頭がいいからなんだろう。
ユリーナの説明は端的かつユーモアに溢れていて――紅茶の専門的な話は俺的にあまり興味があることではなかったのだが――ちっとも飽きることはなかった。
おかげでティー・ソムリエ(紅茶の専門家)にでもなったような気分だ。
ゴールデンティップなファイン・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー1(F T G F O P 1)のファーストフラッシュがジャンピングからのゴールデンドロップでゴールデンリングしているよ。
アーハン。
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