よくねーよ

「よくねーよ!」


「何で?行けんだよ!下界に行って、プロポーズできんだよ」


「一年しかないじゃねーかよ!一年なんてすぐ、くんじゃねーかよ」


バチン……


天ちゃんに叩かれた。


「受付したなら、わかんだろ?みんな、死にたくなくてきてんだよ!テメーは、一回でも生きれるんだからいいじゃねーかよ」


その言葉に、ハッとした。


そうだ!


みんな死にたくなかったんだ。


神が、特別扱いしてくれて俺は、もう一度彼女の元に戻れるんだ。


「天ちゃん、ありがとう。ごめん」


「きめーし!ほいじゃ」


天ちゃんは、消えていった。


「戻るか?一年」


「ああ、プロポーズしてくるよ」


「うまくいくといいな」


「うん、頑張ってくるよ」


「もしも、君が行った場所で彼女に新しいやつがいたらどうする?それでも、プロポーズするのか?」


「ああ、妙伊子が浮気しててもするよ」


「それなら、引き留めなくていいな」


「何だよ、それ」


神は、俺にあのワインを注いでくれる。


「乾杯」


カチンと黄金色のグラスを合わせた。


ゴクリと飲み込んだ。


「なあ?俺、殺されたのかな?」


「さあな」


「怨まれてたのかな?」


「さあな」


「一年あれば、調べられるかな?」


「調べてどうする?」


「復讐すんのかな」


「復讐したら、天国ここには戻ってこれないよ」


「それでも、知りたいだろ」


「俺は、君を気に入ってる。だから、天国ここに帰ってきてくれ」


神は、そう言ってワインをまた注いでくれる。


「動画配信、やってみたりしたいよ!翔と」


そう言って、笑ってくれる。


「気がかわったら、ごめんな。神」


「俺は、翔と友達になれたと思ってるよ!だから、翔は戻ってくるって信じてるから!」


「友達か…。俺でも、自分が死んだ理由調べてみるよ!やるか、やらないかは、別として。何で、ここに来たかを知りたいんだ」


「わかったよ!納得する答えを見つけておいで」


「カミホンって」


「下界でも、使える」


「マジで、言ってんの」


「マジで、言ってる!寂しくなったら、電話しろ。一番目に登録しといたから」


「ありがとう」


俺は、掌サイズのカミホンを見つめていた。


「人チケットの使い方は?このまま、胸にくっつけてごらん」


そう言われて、俺は人チケットを手の中に握りしめる。


小さな人形の形だ!


真ん中に押さえつける。


パアーって、光が少しずつ広がっていく。


「翔、また会おう」


「神、またな」


左手で握手をされた。


ふわって、体が浮かび上がると一気に落ちていく。


まるで、バンジージャンプだ。



「わぁぁぅぁぁぇあぁああがぁあがぃがぁたぁだあ」


よくわからない叫びを上げた。

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