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「三時間以上、同じような景色のなかを、たった一人で歩くのは超ダルい。それでとりあえず、こんなとこに来た」
広い部屋の全体を動画に収める。
「なんか、ホールみたいに広くなってる場所。ここで少し休憩にする。それと相変わらず圏外。Wi-Fiも飛んでないね」
ちょっとした教室を五、六個分合わせたくらいの広さ。そこそこ明るい。でもまあ、窓もないし、なんか圧迫感はある。
「エンティティがいるかどうかも怖いけど、今は空腹のほうが問題。こういうときに限って水筒も持ってない。あれな、人は水分を摂取しないと三日しか生きられない、とか言うんじゃん。ヤバいかも」
壁にもたれかかるようにして座る。まだなんとか、気分的には楽観的なところもあると思う。
「そういば、アーモンドウォーターとかいう飲み物とか、物資もあったりする設定もあったな。ま、ここで見つけることができるかは知らんけど」
それで撮影を止めた。
バックルームズは、無限に広がっているだの、空間が変化するだの……あ、そういえば、ノークリップという移動方法があるらしかった。
壁を壊すか壊さないかくらいの、微妙な速度でぶつかれば、他のレベルとかに行けるらしい。でもその方法は、ヴォイドとかいう虚無の空間とかに行く場合が多いらしい。そこは真っ暗で何も無くて、永遠に落下し続けるだけの場所だとか。世間では、それを死後の世界とでもいうんじゃないのか?
とにかく疲れた。別に運動部で体力があるというわけでもないし、三時間以上も飲まず食わずで歩き続けるのはダルすぎる。
それでもまだ、諦めたり絶望したりするには早すぎる。
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