第23話 それぞれの<ステータス>

 「ふう、今日もお疲れー」


「お疲れ様」

「おつー」


 おれたち三人はいつものカフェで、今日の狩りの戦果を確認しながらわいわいする。フィはお疲れモードのまま眠り、おれの中へと戻っていった。どうやら、おれのMP分だけ活動できる仕様らしい。


「……」


「なんだよ、夢里ゆり


 腕を机の上で伸ばし、突っ伏すようにしている夢里がおれの方をじーっと見てくるので、聞いてみる。


「べつにい」


 うーん、なんだろう。何か言いたげなのは確かなんだけど。まあ、本人が良いなら良いか。


 あれからレベルは上がっていない。次はいつになるかな……ってそういえば一つ気になる事がある。


「みんなってレベルいくつなの?」


「!」


 夢里の体がびくっと動き、明らかに反応を示す。

 待ってました、と言わんばかりにニヤけ顔になった彼女は、


「それ、女の子に聞いちゃう?」


 いやらしく横目でそんなことを言ってくる。

 なんだその刺さる言い方はー!


「え、あ、いや! い、言いたくないならいいんだ! なんとなく気になっただけで……」


「ふふっ、かーくんってほんと面白いね。夢里ちゃんの冗談だよ。初対面でいきなり<ステータス>を詳細に聞くのはちょっと、って思うけど、レベルぐらい別に普通だよ。パーティー内で共有することだってよくあるわけだし」


「な、なんだよ、おどかすなよ」


 華歩かほの補足でほっとする。


「現代のことにはあまりにも無知な勇者様が面白くってね!」


 二人は笑いながら、それぞれ自身のステータスを開くが、夢里の動きが鈍い。

 ちらっと顔を上げた彼女は、

 

「ねえねえ、からかっておいて悪いんだけど……」


「なに? 夢里ちゃん」


「どうせなら<ステータス>見合わせるのって、ダメかな? あの、ほら、私たちこれからも一緒に狩るわけだし、さ」


 夢里が少し言いづらそうにおれたちへ持ちかける。

 なるほどな、夢里はおれたちの<ステータス>の話をしたかったんだな。おれたちでさえ躊躇ちゅうちょするってことは、やはり<ステータス>を聞くというのはそれなりに攻めた質問なのだろうか。

 

「わたしは、いいよ。二人はもう信頼も出来るから」


「おれももちろん。まだなんで見せたらいけないのかよく分かっていないしな」


「いいの! やった!」


 夢里の顔がぱあっと明るくなる。


「それと理由についてはね、黎明期れいめいきって言うんだっけ? ダンジョンや<ステータス>出現当時は色々あったんだよ」


「ふーん、そうなのか」


 まあ当時はそりゃ混乱しただろうな。ダンジョンが話だってわかった瞬間、あくどい連中もいっぱい動いたことだろう。


 それから、華歩に一から教えてもらう形で<ステータス>共有を行う。


 <ステータス>内の“制限セーフティ”を解除し、それから申請を自身の指で受理することで<ステータス>はパーティー内に共有される。なお、<スキル>や『魔法』などについてはさらに申請と受理が必要となる。


 今回はそこまではせず、装備抜きのパラメータが共有される。




<ステータス>

天野あまの かける


職業ジョブ “???”

アビリティ:???


レベル:3


HP :121/121   

MP :18 /18   

筋力 :9  

敏捷力:9        

耐久力:8 

運  :18       

魔力 :16       




<ステータス>

星空ほしぞら 夢里ゆり


職業ジョブ “銃使い”

アビリティ:急所へ攻撃が命中した時のダメージが上昇


レベル:7


HP :250/250

MP :28 /30

筋力 :36

敏捷力:22

耐久力:18

運  :34

魔力 :7




<ステータス>

小日和こびより 華歩かほ


職業ジョブ “魔導士”

アビリティ:『魔法』の消費MP軽減、威力増加、範囲拡大


レベル:8


HP :270/270

MP :120/120

筋力 :11

敏捷力:18

耐久力:17

運  :27

魔力 :50




「「「え!?」」」


 お互いの<ステータス>を確認し合い、三人同時に驚く声が出た。

 だがおそらく、各々驚いてる理由は違うだろう。

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