第7話 幼馴染
──グオオオオォォォォ!!
あるパーティーが超大型の魔物と対峙していた。
「ったく、オレの弱さが嫌になるぜ! こんな時カケルがいてくれたらなあっ!」
パーティーの最前衛を張る
「その話はもうしないって言ったでしょ! もう行ってしまったものはしょうがないんだから!」
後衛で“
「にしても、この程度のダンジョンの魔物がどうしてここまで強くなっている? 前までと同じなら俺一人でも攻略できたはずだが」
このパーティーの現
「知らねぇよ! 追放されたオレたちへのさらなる報いってか?」
「ほんとにね! カケルがいなくなった途端、ワタシたちに冤罪を押し付けて。あの大臣、何考えてるんだか! 信じる周りも周りだけど……ねッ!」
中衛役である女の子が言葉の最後と共に放った蹴りによって、パーティーを阻んでいた巨大な熊は倒れる。
「ふう、こんな奴に手こずるとはな。オレたちも鈍ったか?」
「そんなことはないと思うけど……って、え、なにこれ」
「なになにー、どうしたのー。ん?」
「「<ステータス>?」」
彼らと彼らが“カケル”と呼ぶ人物が再び会うのは、まだまだ先のことである──。
★
「よし、今日も行くか」
学校が終わり、一早く下駄箱まで着いたおれの足は今日もダンジョンへと向かう。初めてダンジョンへ潜った日から、放課後はダンジョンに行くのが今の日課だ。
「おい、そんな嬉しそうな顔してどこ行くんだ?」
「ん?」
後方から声をかけてきたのは同級生たちだ。
「別に」
振り向くでもなく雑に返事をする。
こいつらに構ってる暇はない。さっさと行くだけ。だが、
「聞いたか、こいつ最近ダンジョン街にいたらしいぜ」
「まじかよ、この能無しが?」
「おい言ってやるなよ、こいつにもちゃんと“
「「「はははは!」」」
やっぱりか。朝からずっとこの話題だ。噂ってのはどこかしらから回ってくるのなのだろう。まあいい、もう行こう。
「ちょっと! またそうやってからかって!」
「んだよ、口出してくるんじゃねえよ、白けるなあ。ちっ、いこうぜ」
「ああ、つまんな」
同級生たちは声を上げられたことから、舌打ちをして離れていく。
おれをかばってくれたのは
「ちょ、ちょっと! まってよ!」
「さっきの話、本当?」
「だ、ダンジョン街にいたって話?」
「そっ」
「……ほ、本当だけど」
「へえ、君がねー」
学校の玄関を出た先、華歩は小走りで追いついてきた。彼女は、右のこめかみあたりが少し長めの、綺麗な黒髪アシメショートカットをなびかせている。そんな髪を耳にかけながら彼女は話しかけてくる。
彼女は
中学で一度もクラスが同じにならなかったこともあり、最近では疎遠気味になっていた。いや、素直に認めるなら、おれが自分に自信がなくて遠ざけていた存在だ。
なにせ、かつてはおれの初恋だった人だ。今のかっこ悪い自分を見せたくなかったというのはあるだろう。
「あいつらの事なんて気にしなくていいからね! またちゃんと言っておくわ! それと実はわたしもね……ううん、やっぱりなんでもないや。じゃね」
舌をペロっと少し出してそう言い残した彼女は、そのまま走り去ってしまった。
かわいいな。
彼女のその後ろ姿を眺めながら、久しぶりに話すことが出来た嬉しさと、すぐに行ってしまった切なさを同時に感じていた。
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