第50話 自然に合わさる肌【ミカの視点】
【49話のミカの視点】
急遽、パーティに出席するための衣装を作りに行く。
若干の後ろめたさを感じながらも、心が浮き立ってしまう。
アキくんは私の髪色に合わせて黒のタキシード。私はアキくんの髪色の水色のドレスだ。
ウキウキする自分が止められない。
アキくんはドレスに合う宝飾品も買ってくれる。奴隷の身分でこんな宝飾品を付けられるなんて……。
改めて私はアキくんの奴隷になれた事が幸運だったと感じ、胸が熱くなった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
年末年始はアキくんと2人きりで過ごす事になった。
リビングではゆったりとした時間が流れている。
何の気なしに1年を振り返る話になった。
本当に激動の1年だったわ。
私は一度心が死んで、アキくんのおかげで生まれ変わる事ができた。アキくんには本当に感謝している。
2人で思い出話をしていたら、会話が止まるタイミングがあった。
アキくんが私の目を見ている。私もアキくんの目を見ていた。アキくんの目に吸い込まれる感じ。気がつくと唇が重なっていた。
夏の時とは違った優しさを感じるキス。アキくんからは欲望を感じられない。ただ自然に任せた行動。私は心の赴くままに身体を預けた。
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アキくんに抱き寄せられるのは夏以来だ。
やはりアキくんの身体の重みが心地良い。
行為の瞬間、女性の喜びを感じて身体が震えた。
アキくんに抱かれていると思ってしまう。私は心だけじゃなく、身体もアキくんに縛られているのかもしれない。
そして私は初めての絶頂を感じて、幸せに包まれた。
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もう朝になったようだ。昨晩は何度も求めあった。どうやらそのまま裸で寝てしまったみたい。寝ぼけた頭で服を探しているとアキくんが私を観察している。
その瞬間、恥ずかしくなって私は身体を隠す。
「今更隠してもしょうがないじゃないの?」
「そういうものじゃないの。アキくんも女の子の気持ちを分かってね」
私は慌てて服を着てリビングに移動した。
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リビングに行って2人で朝食を食べる。朝食はリーザさんが作ってくれていた日持ちのする祝い料理だ。
アキくんと会話は無かったが、2人の間には穏やかな空気が流れていた。
ボムズでは1月1日に火を祀るお祭りがあるみたい。
アキくんと2人でお祭りを見に行った。
屋台もいっぱい出ている。屋台の買い食いでお腹がいっぱいだ。
アキくんはお祭り名物のスライム釣りをやっている。熱くなっているアキくんをみたら歳相応の少年に見えて自然と笑ってしまう。
その日の夜もアキくんと自然に肌を合わせていた。
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ファイアール公爵家主催の新年祝賀パーティーの当日になった。
朝からリーザさんが私の支度の準備のために頑張ってくれている。
鏡の中の自分がドンドン変わっていく。まるで魔法にかけられているみたいだ。夢にまで憧れていた華やかなドレス。果たして私は似合っているのだろうか?
用意が終わりリビングに移動する。アキくんに見られると思うとドキドキしてくる。
アキくんは黒のタキシードをバッチリ着こなしていた。
リーザさんが自慢げにアキくんに話しかける。
「アキ様、どうですか。今日のミカ様は私の自信作です。素材が良いと、こちらも気合いが入りますね」
アキくんは私を見て何も言わない。似合っていないのかな? 少し不安になる。
「こんなドレスを着るのは初めてです。アキくん似合っていますか?」
慌てた様子でアキくんは「とても似合ってる。綺麗だよ」と言ってくれた。
その言葉を嬉しく感じたが、アキくんを無理矢理パーティに出席させた後ろめたさが私の心に湧いてきた。
私は「ご主人様、本当に申し訳ございません」と言いかけたが、場にそぐわないと思い、その言葉は胸にしまう。
「アキくんもとても似合っています。格好良いです。今日はありがとうございます。私のわがままに付き合わせてしまって。私は奴隷失格ですね」
「何を言ってるかよくわからないよ。さぁ楽しんでこようか。」
アキくんは私にそっと手を出す。私はその手に自分の手を添える。
私はアキくんの手に引かれて、迎えに来た公爵家の馬車に乗った。
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