第100話 地下ダンジョンへ

 今、六人は帝国の城に潜入している。抜け道である下水道を通って行った先、城へと入る隠し扉からの侵入である。メンバーはS級勇者たち五人と幻の六人目の勇者である蓮だ。もちろんリンゴも一緒だ。


 蓮がダンジョンとシンクロする事が出来る事を伝えると、S級勇者たちがそれに食いついてきたのだ。


 この世界を救うとかには余り乗り気ではなかったものの、ダンジョン攻略はしたいらしく、帝国の地下のダンジョンには興味深々だったようだ。


 蓮もそこの事を聞いては、行かないわけにはいかない。そこで、調査がてら六人で攻略してみようと言う事になった。


「勇者様、我々も連れて言ってはくれないか?少しは役に立つとは思うのだが」


 そう、アリシアたちも行きたいと言ったのだが、大人数だと動きにくいと言う事で今回は断わられたようだ。


 その事を、とても残念がっていたアリシアに、今回はまず偵察を兼ねての挑戦だから、次回はお願いしたい。そう本城が髪をかき揚げながら、爽やかな笑顔でフォローを入れていたのを、隣で聞いていたフランソワが、そんな本城をゴミを見るような目で見ていた。


 さすがにS級勇者たちも、まずは、蓮のシンクロでダンジョンの把握をし、攻略できそうならボス部屋まで突っ込む。無理そうなら肩慣らしと言う事としたいようだった。

 それにだ、S勇者たちは各自が蓮との連携をどう取れるかの実戦での経験もしておきたいと言う事もあったようだ。


 そこで、その間は別のダンジョンにて、クライドたちのレベルアップをすると言う事になった。またご隠居や公爵は、自分たちの出来る事を押し進めておくと。


「それなら、我々は色んなルートで出来る限りの調査して置くことにしましょう。ほかにも各所へ連絡を密にしておきましょう」


 蓮を襲ったフレルという男の首輪はアーヴィンは難なく外してくれた。その事で、襲った組織や理由が分かるかもしれない。囚われていたエルフたちの件やラウド聖教国と司教の件もある。叩けは色んな物がでてきそうだ。


 各自が出来る事をやる、という事で話はまとまっての、それぞれが動きだした。



 ◇◇◇



 そして、蓮たちは帝国地下のダンジョン前にいた。


 帝国地下のダンジョン、その巨大な門の周りは、悍ましくも邪悪なオーラで埋め尽くされていた。


 門の前には、女性の像らしき下半身だけがそこに建っており、上半身はすでに壊されて、無残にも粉々になって下に散乱している。たぶんその像がここを封印していた本体であったのだろう。


 その門の周りには棚や机、椅子が倒された荒廃した状態で、以前はそこに警備兵が常駐していたであろう痕跡はあるのだが、今ではそこを誰も守っている者などはいない。


 何故なら、正常な状態でここにいる事は到底無理であろうほどの、そこは邪悪な魔素で覆われていたからだ。


「うわ、酷い状態ですね。これは聞きしに勝る荒れ様ですね」


 蓮は恐る恐るこのダンジョンに入ると、恐々とシンクロをしてみたのだが……。


「うわぁーーー!」


 思わず、飛び跳ねるように後ろへ仰け反ってしまった。


 すごい量の情報が蓮の中へ流れてきた事で、その量の多さと複雑さ、その上、全ての情報が想定以上の邪悪な様であった事で、まるで暗黒面に引き寄せられそうな感覚を覚えて、慌てて、シンクロを解除してしまったのだ。


「どうした?」


「これは酷いですね。とりあえずはココ、もしかしたら聖女必要かもですよ」



――――――――――――――――――――――――

 なんだかんだと、とうとう100話目に入りました。

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