第27話 オートバイ
すでに私はオートバイを降りている。原付バイクはまだ有るが、本気のオートバイは持っていない。
私が一番ツーリングに乗っていたのは、カワサキのゼファー400だった。友人から譲り受けたバイクだったが、良く走ったし、乗りやすかった。4気筒のエンジンはどこでも良く吹け上がり、ロードでは難点らしいものは無かった。唯一の欠点はカワサキバイクの共通点であるオイルにじみだろうか。後は、車検があるので、それがいくぶんめんどくさいところだ。朝、思い立って一人ツーリングなんてのは茶飯事だったし、仕事終えて、夏の夕涼みツーリングなんてのもよくやった。
最後のバイクは、ヤマハのSRV250Sだった。これは、永く乗った。車検なしなので、気楽だった。Vツインで少し癖のある走りではあったが、ゆったり何処へでも行ける気がした。実際、色んな所へ走ったものだ。燃費も良く、タンクは小さめだがヨーロピアンなデザインは乗っていて、何か気分が良かったのだ。紺のカラーリングもお気にいりだった。ただ大きな欠点は、このバイクが不人気車だったことなのだ。不人気車だったので、すでに廃番となっているのだ。廃番となって15年以上経つと、修理に困るようになる。しかも、不人気車の場合中古パーツも少ないし、サードパーティのパーツも少ないのだ。
色々と壊れて、修理するのは古いバイクの場合当たり前のことなのだ。しかし、それは部品があって初めて成り立つ。バイク屋から、「新品パーツが無いので、中古パーツを使いますね。」と連絡が増えるようになってきたのだ。そうこうしているうちに、だんだん乗ることが少なくなってきた。初めは踏ん切りがつかなかったのだが、再度乗り出すのにかなり大変そうになって、バイクを降りる決意をした。バイク屋にあずけて、私の手からSRVは離れていった。
バイクは楽しい。ただ、夏は暑いし、冬は寒い。車体が裸だから、どうしようもない。それを差し引いても、風を切りながら走り抜ける爽快感は代え難いものがある。だからやはりバイクは楽しいのだ。
もう再びバイクに乗ることは無いだろうけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます