第24話 肥料と堆肥2

 堆肥は土壌改良材なのだが、なぜそういうものが必要なのかは前回に書いたように土中生物の偏りを是正するためだ。

 特に土中生物で偏るのは、線虫になる。特に寄生性線虫とよばれるネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウの3グループが農作物の天敵になっている。連作すると残った根の残滓にこれらの線虫が集まり、次の作物に害をなすのだ。こういうセンチュウは連作障害のもとになり、様々な病気を作り出す。もちろん、これらを駆除する農薬もある。しかし、土中成分が偏ると駆除だけでは解決しないので堆肥を畑に入れるのだ。また、牛糞などの動物系堆肥と腐葉土、バーク堆肥などの植物系堆肥とでは好む生物が異なるので、同系統の堆肥を連用することも避けないといけない。

 また、化学肥料と有機肥料の違いは簡単にいうと分解されない肥料か、分解される肥料かなのだ。化学肥料は栄養素がストレートに植物に届けられるので、即効性で分解の必要はない。有機肥料は栄養素に不純物が多く、土壌微生物による分解を経て植物に届けられる。この点で、遅効性で必ずしも有効とは限らないこともある。その代わり微量栄養素が豊富で植物が自然と丈夫に育つ。

 これらの色々な要素を勘案して農業は成り立っている。なんとなくで出来るのは趣味の世界では通用するが、プロ農家は非常に複雑な要素を組み合わせて、より良い結果を求めているのだが、そういう側面は一般には知らされていないような気がするのは私だけだろうか。


 

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