第224話 テンプレいただきました

 くふふ。テンプレいただきました。顎が外れそうなほど大きな口を空いていますね。それに驚いて声もでないみたいです。


「それから僕達三人とも冒険者ランクもSランクですよ」


(テラ。この人達はぐるぐるしちゃって良いよね? 持ち運びハウスを奪おうとしましたから、盗賊だし、教会の人でもありますから)


(そうね、でも一応。んん神眼~、見ておいて良かったわ。一番後ろのおじいさんは料理人だから良い人よ、さっさと奴隷の腕輪も外してあげてね。後はやっちゃって良いわ)


(ありがとうテラ。ぐる――)


「そ、そんなはず無かろう! 貴様のようなガキが辺境伯だと! そのような偽の紋章を見せて騙せると思ったのか! 構わん! さっさと引きずり出してしまえ!」


「「はっ!はっ!」」


「あはは······痛くないようにしようとしてあげたのに、仕方ないですね。じゃあ久しぶりにゴブリンの棒の登場です!」


 白いローブを羽織った兵士さん五人が僕達を囲むように包囲して手を伸ばしてきましたので、出したゴブリンの棒でお腹をつついてあげました。


「ふげっ」「ごふっ」「おごっ」「ぐほっ」「かはっ」


 五連続でほぼ同時につついたため、五人は一斉にくの字に体を曲げ、顔から地面にドチャっと倒れ気絶······したかな? 中々強そうですけど先に嵌めておきましょう。


 よし。これで残りも五人です。僕は捕まえようと襲ってきた五人が倒れ、唖然としている残りの五人に向かい、スッと前に踏み出して同じようにお腹をつついて気絶って言うより、うめき声をまだあげていますので、動けなくなってるだけですね。


 倒れた五人に奴隷の魔道具を嵌め、驚き固まっているぷよぷよの枢機卿さんにも奴隷の魔道具を嵌め、その後ろであわあわしているおじいさんの奴隷の魔道具を外してあげました。


「では命令です。武器や魔道具を外して大人しくその場にいて下さい。あっ、そっちのお爺さんは······」


「回復魔法ね。そっちの本を渡してあげなさい」


「ありがとうテラ。はい、お爺さん。これを読んで勉強すれば回復魔法が使えるようになりますよ。それからどこから連れてこられたのですか?」


「え? あ? 奴隷の魔道具が外れている?」


「はい。あのですね、教会の方達を――」


 僕はこの大陸にやって来てからの事と、教会の事をお話しして、お爺さんはうんうんと頷き、分かってくれたようです。


「その通りだ。私も宿屋を経営していてね、泊まり客に料理とちょっとした治療をしていて噂になり、繁盛していたのだが、ある日突然教会のコイツらが来てな、私の力を教会に来て役立てて欲しいと言われたのだが、繁盛している宿を手放す事になるから断ったんだ」


 なるほどです。でも回復魔法が使えたのになぜ料理人さんをしていたのでしょうか?


「するとどうだ、その日の夜に忍び込まれて寝ている間に奴隷にされちまって、それからは料理と回復をしながら、今日まで来たってところだ。今回は偶々たまたま教国で枢機卿の集まりがあるから旅の途中の食事係として連れてこられたんだが」


「ほう。という事は、教国の偉い人が全員集まるってことですか? そちらの枢機卿さん、嘘をつかずに正直に答えて下さい」


「くそっ! 喋る訳ないだろう。教皇様を始め、この大陸中から集まってくる。後一週間後にな! あっ、くそっ! 奴隷の腕輪か! だがいくらSランクとは言え、貴様のような子供には絶対勝てぬ教国の守護者がいるからな、精々頑張る事だな」


 ほう。どんな方がいるのでしょうか? もしかしたらお爺さんみたいに寝ている間に捕まっちゃったのかもしれませんね。


「なんて方ですか?」


「神だ、名は明かされておらん。ただの人間がいくら強くなったとしても、神には勝てん。くははは! 精々あがくが良い」


 神様ですか。もしかするとまた邪神かもしれませんね。


(そうね。ところでライ、コイツらの仲間はもういないのかしら? 枢機卿って偉い人よね? それがたった十人? 少なくない?)


(それもそうですね。聞いてみましょう)


「枢機卿さん。今回の教国への旅はこの人数だけなのですか?」


「ちっ、そうだ、後は冒険者を護衛にしているだけだ。私は枢機卿だが、隣街から来ただけだからな、いつもなら教国側の国境の街で二十人の護衛が付くはずだった」


「じゃあ安心ですね。それじゃあ教会の十一人の方は馬車に戻って、国境の街の衛兵さんに捕まえてもらって下さい。お爺さんは捕まえた人って言えば、少し報酬がもらえますからもらっておいて下さい」


 そう言うと枢機卿さんと兵士の十人は、列の後ろの方へ歩いて行き、馬車の列にある豪華な馬車に歩いていきました。


「あっ。テラ、馬車に変なの持っていないか見た方が良いですよね?」


「そうね。じゃあアミーはこの家を守っておいて、さっさと行って回収してくるから。行くわよライ」


 そして色々な魔道具が馬車に積んであったので、お爺さんに役立つものだけ残し、後は回収して持ち運びハウスに戻り、寝る事にしました。


 そして翌日の朝、跳ね橋が夜中に直ったようで、僕達は国境の街に入る事ができました。

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