第217話 お義父さんを呼びましょう

 あっ、ダンジョンに転移してきましたね~。残念ですけどそこはもう最後の部屋じゃないんですよね。


 おおー! 怒っているのでしょうか魔法を撃ちまくっています。どんどん撃って下さいね、その分早く抜いてしまえますから。あっ、ダンジョンが成長した事に気付いちゃいましたかね? 移動始めましたし。


 んと、魔道具っぽい物は······色々と沢山持っていますが、テラは寝ちゃってますし、どうしましょうか。


 ここの階層に来た時は収納しても良いですよね。


 それからしばらく観察していると、飛翔を使っていますので、魔力の減りも良い感じですし、悪いのも抜いちゃいましょうか。


 そろそろだと思い、僕はムルムルにお願いして胸の上で寝てるテラを起こさないように乗せてもらい、なぜか僕のお腹を枕にしてるアミーを浮遊で浮かせて起き上がりました。シトリーはと見ると、アミーのお腹の上にいましたので、そ~っと布団の上に下ろして持ち運びハウスを出ます。


 そしてキングクラブを焼いた砂浜に出てきて、壁の向こうに邪神さんが到着したのが分かりました。


「いくら邪神さんでもあの壁は壊せないだろうし、穴も、たぶん見付けられませんよね~。さてじゃあお出迎えに行きましょうか。浮遊! 転移!」


 パッ


「こんばんは。ここまで来るの物凄く早かったですね」


「······貴様は?」


「おお、そうですね、初めまして、ライって言います。冒険者です」


 真っ黒な羽が生えて、少し白色になっているところもありますけど、目も髪の毛も黒色、目なんて白目がありません。それに着ている服は凄く格好いい服で、色は黒なのですが、艶のあるところと艶の無いところがあって、今度にた物を作ろうと思います。


 それなのに肌は病気なの? って聞きたいくらい色白で、だいぶ悪い物が抜けて、魔力も後少しで無くなりますって感じのお兄さんです。


 僕がそうやって挨拶したのですが、聞こえなかったのかな?


「ライと言います。冒険者です。お兄さんは?」


「――っ! 私は女だ! お兄さんではない! どこをどう見たらそうなる! 失礼なヤツだな!」


「ご、ごめんなさい。格好いい服だったので、本当にごめんなさい」


「全く最近の子供は、そうだ、私はガープ。ここのダンジョンマスターに会いに来たんだけど、前よりずっと深いダンジョンになっているし、なにがあったのか教えなさい」


 ほっ、許してくれたみたいですね。あっ、もう魔力がなくなりそうですね、名前も邪神のガープさんですし、悪い物もよし、魔力と一緒に無くなりました。


「浮遊! そして魔道具を収納! よしよし。でもどうしましょうか。······テラお義父さんを呼ばないと、ガープさんは駄目なのですよね。それに裸ん坊ですからなにか良い服は······ありました!」


 服を着せたガープさんをとりあえず一緒に島へ転移。


「テラお義父さん、聞こえてますか?」


 空に向かって、話しかけてみましたけど、やっぱりテラが側にいないと覗いてくれないみたいです。


「ん~と確か、開け方は、テラの魔力っぽくして、あっ、勝手に開けるのはいけませんね。魔力を固めて、コンコンコン······コンコンコン、こんばんは。夜遅くにすいません。ライです。テラお義父さんはいますか?」


 ん~、駄目ですか。


 仕方ないですね、こっそり開けて、ガープさんを放り込んでおくしかないです。


「開けますねー、ぐるぐるー、ぬぬぬ!? これは難しいですね、負けませんよ! ぐるぐるーぐるぐるー、今だ! ほいっと!」


 パキンとやっぱり大きな音がしました。今度は鳴ると思っていましたから、耳を塞いでいたので大丈夫でした。


「よしよし。テラお義父さーん、今から邪神だったガープさんをそちらに放り込みますよー」


 ガープさんの浮遊を操作して、スーッと空にできた裂け目まで持ち上げていきます。


 後少しです。そう思った瞬間。


『ぬ? テラと同じ魔力と思い、急いできたのだが、ライ、お前がこれを?』


「あっ、テラお義父さん。こんばんは。突然開けてしまってごめんなさい。実は邪神のガープさんが僕の友達を苛めていたのでやっつけました。前のエリスさんみたいに悪いのを抜いちゃいましたからそちらに送ろうと思いまして」


『なんと! ライは······ふむ、もう少しだな。ところでテラは?』


「テラは今寝ていますよ。明るいですが、夜中だと思いますし」


『どれどれ、ほう、また小さくなっているのだな。おっと、邪神ガープか、悪戯好きのまあ、邪神の中ではまだまともなヤツだな。分かった、ガープは私が連れて行っておこう。でわなライ。テラによろしく』


「はい。伝えておきますね。お義父さんが大活躍した事にしておきます」


『くくっ、私は連れて帰っただけと言っておいて良いぞ。また時間のある時にでも、覗きに来るよ』


 僕は慌てて耳を塞ぎ『パキン』空の裂け目が消えたのを確認して手を離しました。


「よしよし。ではまだもう少し寝れそうですから、一眠りしましょう」


 そして僕は持ち運びハウスに戻り、みんなを浮遊で浮かせて元の位置に戻り、目を閉じました。

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