第211話 ダンジョンの確認とスコップ

「ほいっと!」


 大人の方が五人並んで通れるほどの間口の下り階段を掘っていきます。もちろんガッチガチに階段も壁、天井も壁も固めていきますよ。


 それは掘った土を無駄にしないようにぎゅっと圧縮して作っていきます。光を浮かべながら作業を続け、もちろん階段の両方の壁にはゴブリン村長からオーク村長、ハサミエビ、ツノガエル、ヒュドラにナインテールももちろん彫刻していっちゃいます。


 とりあえずダンジョンと同じ深さまで下り階段ができたので、そこからは横にまっすぐです。あっ、ついでに何ヵ所か部屋も作っておきましょうか。冒険者ギルドで管理すると思いますので、入口の一番手前にはここの冒険者ギルドと同じ作りにしておきましょう!


「はぁ、またやってるわね。まあ頑丈そうだし、良いんじゃない」


「ぬぬ! これは私ではないか! それにテラ様に、この女性達はもしやライの奥さんかの?」


「そうよ。この子がティ、フィーア、プシュケ、リント、イシェね。あらあらムルムルの王冠まで細かく彫られているわね」


「おいおい、これを即席の土魔法で作っているのか? 触った感じもこれは物凄く硬いだろ、その辺に転がる石より数段に······」


 そうです入口は広い部屋にしておきましょう、ダンジョンにもぐる前に腹ごしらえしたり、買い忘れの物が買えるようにお店風にしておきましょう。


「ふう。一応完成です。後は光の魔道具で階段と通路に取り付ければ完成です。えっと、光の魔道具は~、おお、結構ありますから取り付けたいのですが······んと浮遊!」


「なるほど。考えたわね」


「浮遊魔法か! 流石Sランクそして、光の魔道具は埋め込むのか! いや、魔石の交換があるから引っ掻けていってるのだな」


 ギルドマスターさんの言う通り、天井に引っ掛けられるようにして、次々と魔道具を取り付けて行き、途中の部屋や、地下の冒険者ギルドに驚いてもらい、ダンジョン入口広場で、開いた口が塞がらなくなったギルドマスターさんの手を引きダンジョンに突撃です。


 一階層への下り階段が終わり、明るくなっている入口を抜けると、タイラントカウさんがのんびり歩いているのが見えました。


「ギルドマスターさん、どうですか?」


「あ、ああ、ちょっと待てよ。ふむ、間違いなさそうだな、ダンジョン一階層、うむ、言っていた通りタイラントカウに薬草、栗もあの林か?」


「はい。全部採っちゃいましたけど、少し復活しているみたいですね、採取してみますか? 薬草と栗?」


「そうだな、少しだけ時間をくれるか? その間にタイラントカウを狩ってくれても良いぞ。解体無しの買い取りで銀貨五枚は出せそうだな」


「そうなのですね、では二匹で大銀貨ですから一匹は自分達用で三匹にしましょう」


 ギルドマスターさんは林に向かいましたので、僕達は見渡して、ひときわ大きいタイラントカウを一匹と普通の大きさの二匹を倒して収納。栗を拾ってるギルドマスターさんのお手伝いで薬草を採取しておきましょう。


「薬草も良いわね、このダンジョンは良い品質の物が採れるみたいだわ」


「おお、これは大きく太い根っ子じゃ。ここまで大きな物は中々採れんので私も少しいただいておこうかの」


「アミー、僕も手伝うよ、ほいっと! はいこれスコップ。これでまわりを掘れば、折らないように採取できるよ」


「ほう。どれどれ······ふむ、これは楽じゃな。これの大きな物は見た事あるが、この小さいものは初めて見るぞ」


「でしょ♪ 冒険者見習いの頃に作って、毎日これで採取してましたから。綺麗な薬草ばかりを納品して褒められてましたしね」


「それは良い道具だな。冒険者ギルドで売り出さないか? 作りは簡単そうだから、鍛冶士の見習いでも作れそうだよな」


 さっき栗拾いが終わったのか、ギルドマスターさんが僕達の薬草採取しているところにやって来て、僕達の手元をじっと見ていたのは気付いていましたが、このスコップを?


「えっと、どういう事ですか?」


「それと同じ物を作って冒険者ギルドで売るんだ、そして売り上げの何割かそうだな、大銅貨一枚で売って、銅貨一枚が手に入ると思ってくれて良いな。それを全ギルドに展開すれば凄い事になるぞ」


「それは良いわね、初心者でも大銅貨くらいなら出せるだろうから物凄く儲かるでしょうね、将来ライは開拓しなきゃならないんだから、いっぱい稼いでおけば良いわ」


「そうだね、開拓は僕がやりたいんだけど、みんなのお仕事も残しておかなきゃ駄目ですからね。ギルドマスター、これを一つ預ければ良いのですか?」


「ああ、余裕があるなら助かるぞ。それを鍛冶屋に持っていって、作ってもらうのと同時に商業ギルドにも登録しておけば、類似の物を作って売れば、それの売り上げからも何割か入金される事になる」


 えっと、それだと凄い金額になりそうです······こういうのはイシェにも教えておいた方が良いですね。


 そして薬草採取も終わり、ダンジョンから出て、新ダンジョンの公開日は明日の朝からとなりました。


 僕達は報酬をいただき、スコップの権利関係の書類を書いて控えをもらい、今日はこの街でお泊まりして明日の朝からダンジョン攻略を開始する事にしました。

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