第189話 ライ伯爵領の魔道士団?

「きゃっ、け、景色が変わりましたよ! 外から部屋の中にですよ! なんなのですかこれ!」


「ようこそサーバル伯爵領へ。今からちょっと父さんと母さん。それからマリーアってメイド長に紹介するからね、じゃあこっちだよ」


 驚いて、困惑気味のノルンの手を引き、僕の部屋から出ると。


「お帰りなさいませ。あら? そちらは先ほど背負子に乗っていた子ですね? 一緒に冒険するものと思っておりましたか」


「マ、マリーアただいま。この子は背負っている事を忘れてまして、冒険はしませんよ。そうです、父さんと母さんに聞いてからですが、メイドの見習いとして働くかもしれませんから、その時はよろしくお願いしますね」


 ビックリです。戸を開けるとマリーアが来ていました。テラも、目をまん丸に見開いて驚いていますし。


「まあ。サーバル伯爵様のお屋敷でメイド長をしております。マリーアと言います。その時は是非よろしくお願いいたします」


「はわわ、よ、よろしくお願いいたします。ノルンと言います!」


 慌てながらもなんとか挨拶もできました。


「父さんと母さんはいるかな?」


「先ほどカヤッツが執務室に向かいましたので、いらっしゃいますよ。案内いたします」


「うん。よろしくね」


 マリーアについて、父さんの執務室に向かい中に入ると、父さん、母さん、それに目的の一つ、カヤッツもいました。


「ライ、お帰り。また沢山連れて来たな。それも、向こうの大陸から貴族まで混ざっているとは、くくく、また王様が泣くかもな」


 ええー、泣いてないですよね? どんどん連れてこいって言ってましたよ?


「うふふ。お帰りなさいライ」


「お帰りなさいませライ坊っちゃん。言われた資料を一部渡しておきますね、もう一部は旦那様に判断してもらいますから」


「ただいまです。悪者と、働きたい方ですから悪くはないですよね? それからカヤッツもありがとう。向こうの良い貴族の方に渡さないと、いけませんから助かります。今港町は悪者もいませんが、管理する人もいませんからね」


 母さんは笑顔で、父さんとカヤッツは苦笑いしてますが、そうです。


「それからですね、この子、ノルンをメイド見習いで雇ってもらう事は大丈夫ですか?」


「よ、よく分かりませんが、頑張って働きますので、よろしくお願いいたします!」


「ふむ、私は構わないぞ」


「それとですね、母さんに魔法の師匠になってもらいたいんだ、ノルンは母さんと同じ賢者だしね」


「まあ!」


「なんだと! ライが言うなら本当の事のようだな、お前、どうだ?」


「うふふ。この魔力、まっさらですわよ。育て甲斐がありますわ、ノルンちゃん、私が先生になっていっぱい教えて上げますわ」


「え? 賢者? よ、よく分かりませんが、魔力はある方だと言われてました。よろしくお願いします」


 そう言って、メイド見習いの仕事をしていただけあって、綺麗に礼をしています。あっ! もう六人も頼んじゃいましょう!


 えっと、ルミナとあの五人は······いました!


「母さん、後六人も一緒にお願いできる? その子達は魔力が見える子達なんだ、今呼ぶね、転移!」


 パッ


「どわぁ!」


「「きゃーきゃー」」


「あっ! ほいっと! くふふふ、ひっくり返っちゃいましたね、ルミナ、君達もごめんね」


 椅子に座っていたのに、突然無くなったので、コロンと執務室の絨毯の上で転がりましたので、僕特製の座布団を頭のところに出してあげました。


「ライか! 呼ぶなら先に教えてくれよ、ったく、ナナシ達も大丈夫か?」


「コロンってなったね~」


「ちょっと楽しかったよ~」


「母さん、この子達も一緒に教えてもらえないかな?」


「んと、そっちのルミナちゃんは分かるけれど、この子達は私で大丈夫かしら、まあ基本は教えられるとは思うけれど」


「お義母様なら大丈夫よ、この子達は精霊の血が混ざってるからそう見えるだけで、使い方は人と同じだから。その、ぐるぐるだけどね」


「うふふ。そういう事ね、分かったはテラちゃん。なるほど、とすれば、この子達はマリーアにメイド修行も見てもらって、将来ライが領主を務める時にメイド兼魔道士団として、働いてもらいましょう」


「かしこまりました。メイドの事は私が先生という事ですね」


「よく分かんないけど教えてもらえるんならなんでもやるぞ魔法か、そうだ剣も使いたいな、剣は教えてもらえるのか?」


「剣なら父さんだけど! 厳しいよ? 父さんから見てルミナはどうなの?」


「ふむ。まっすぐ立てているな、転げた時の受け身もできていたから、ついでだ、私と同じ様にしてもらうか」


「おおー! ライの父ちゃんは剣使えるんだな、おっちゃんよろしくな」


「くふっ、おっちゃんとは、くふふふ、旦那様に剣を習えるなど中々できる事では無いのですがね」


「カヤッツ、まあ良いか、そっちのちびっ子も最初の子もまとめて面倒見るとしよう。その内フィーア、ティ、プシュケにも教えてみるか」


「そうですわね、イシェちゃんも教えてあげないとですわ――」


 六人を集め、父さんと母さんがお話を始めました。そして少しあきれた顔で見ていたカヤッツとマリーア。


「マリーア、ライ坊っちゃんのまわりには化け物揃いになりそうだな」


「ええ。私達も負けてられませんわねカヤッツ」


 うんうん。僕も負けてられませんね。父さんと母さんに教えてもらえば強くなりますし、将来の魔道士団兼騎士団でも良いかもです。





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