第187話 怪我人も治しちゃいますよ
「ふぁぁ、なんだか外が騒がしいですね?」
「ううーん、もう朝? そうね、まったく、朝から元気ね」
「おはようテラ。ムルムルもおはよう」
(おはよう。ひといっぱい、さかなだす?)
「今日はお屋敷に行くから朝からはいいかな、よし着替えてしまいましょう」
テントの中で腹巻きを脱いでパジャマも脱いで、着替えてしまいます。
外に出ると、昨晩のバーベキューをした旧孤児院前には手荷物を持った人達が、沢山集まり、長老が人数を確かめているようです。
「ねえライ、これって昨日より増えてるわよね? いったい何人いるのよ、まさかスラムの人全員とか言わないわよね?」
「さ、流石に無いんじゃないかなぁ、あっ、ルミナ! ちょっ、ちょっとこっち!」
僕はルミナを見付けましたので、そちらに向かいながらも声をかけました。
ルミナも気付き、あの五人を連れて走りよってきます。
「おはよっ、やっと起きたか、みんな集まってんだぞ、まったくよ」
「「
「あはは、ごめんね。ところで昨日より沢山の方が集まってるようですが、いったいどういう事?」
ルミナは集まっている方をチラッとみて、こっちに目線を戻すと。
「にへへ。スゲーだろ? スラム中から悪さしていた奴らが消えただろ? だから昨日のみんなに来てなかった奴らにも声をかけてもらったんだ。そうだ、向こうへ行ったら病気とか怪我も治せるのか?」
「ん? 僕が見ますけど、あまり酷い病気とか欠損してる怪我は治せませんよ?」
「へ? ライ、お前なんでもできるんだな、よし、こっち来てくれ、とりあえず集めてあるんだ」
そう言うとさっさと駆け出し、孤児院に入って行くので、僕達はそれを追いかけ中に入ると、床に沢山の方が寝たり座っていました。
「ねえテラ、重い病気の方はいるかな? 怪我人なら骨とかは治せるんだけど」
「はぁ、多いわね、三十人ほどかしら、待ってちょうだいよ、
見ると、壁際に横たわって、ぜえぜえと荒い息をしている女の子がいました。
「火傷ならまかせてください、マシューのお弟子さんを何度も治しましたから、跡も残さず治してあげますよ。ルミナ、その壁際の女の子以外はすぐに治りますからね、いきますよ~、ぐるぐる~、ほいっと!」
簡単な切り傷擦り傷はあっという間です。
次は風邪の方も鼻と喉、肺に回復魔法をかけてあげると、咳も止まり、咳声が無くなり静かになりました。
そのつぎは骨折の方も、テラに見てもらって、まっすぐにして五分ほどでくっつきます。
治った方達も時間がかかりそうですからご飯を食べてもらうため、ルミナ達にお肉と魚を沢山持たせて焼いてもらうことにしました。
そして、ぞろぞろと復調した人達がルミナについて外に出ていったので、残りは火傷の女の子だけが残って、回復を続けます。
仰向けに寝てますからたぶんこの様子ですと背中も火傷してますよね、下になっていると絶対痛いはずですから――。
「浮遊!」
「考えたわね、それなら少しは痛みがなくなるわよ。ほらあなたも頑張んなさい」
「······あ、り、が」
「まだ無理して喋らなくても良いですよ、とりあえず開いてる傷を治して~、次は引きってしまった所を治しますよ~、そうだ、服を脱がしちゃいますから、ちょっと引っ付いてたりして痛いかも知れませんから我慢して下さいね、行きます、収納!」
服を脱がしてみると、火傷してないところの方が少ないと言うかほとんど無いです。
「酷いわね、ライ、綺麗に治してやるのよ、あっ、ライ、ここ! お腹に刺し傷まであるわ! 内臓が腐っちゃう前にここから治しなさい!」
「分かりました! ここですね、ぐるぐるー、ほいっと!」
お臍の下に血が滲み、まだ新しい刺し傷のようですが、結構深く刺されているみたいです。
「そこを重点的だけど、他もやりながらよ、体の半分も火傷してるなんて、色々と本当に危ないんだからね、よく生きてたものだわ」
「うん。ちょっと、街から魔力をもらっちゃいますね」
街の人達から少しずつ、また魔力をもらい、女の子に注いで、内側からも治るように回復魔法をかけていきました。
三十分ほど時間が過ぎていますが、まだかかりそうなので、テラに外の人達の食材を提供してもらうことにしました。
「仕方ないわね、ムルムル、魚を出してもらうわよ。ライ、すぐ戻るから頑張ってね」
「うん、テラもムルムルもお願いね」
そして僕はお腹の刺し傷とあわせて、頭から火傷の傷消しをやっていきましょう。
少し残っている黒い髪の毛ですが、治していっても毛は生えませんから、しばらくは帽子か何か、かぶってもらいましょうね。
あら、可愛い顔がでてきましたね、このまま上から治していきますからね。
頭、顔、首から肩、胸、腕、お腹、背中もですね、それからおまた、太もも、くっ、太ももにも刺し傷があるじゃないですか! ここも集中して、ぐるぐるー、ほいっと!
「え? 嘘っ、痛みが足だけ?」
女の子が上半身を起こしてきましたが、今は集中です。
両太ももに、数か所の刺し傷がありますから手を添え回復魔法です。
「凄い······刺された古傷まで消えてる······」
「まかせて下さい、綺麗に治してしまいますからね、よし、あっ、足が変に曲がって、折れてるのですか?」
「っ、はい。スラムに捨てられた時に折られました」
「なるほど、酷い目にあったのですね、えっと、靴を脱いで、引っ張りますから少し痛いですよ」
「何、骨折してるのね、私が見てあげるから」
「テラ、助かります。じゃあ、おまたに足を置かせてもらいますね、せーの!」
「う、嘘っ! ひぎぃ!」
「少し内側に捻りなさい! そこ!」
「もう片方も、せーの!」
「はぁ、はぁ、あの、おまたにその、あがぁ!」
「そのままで良いわよ」
その後は、指先まであった切り傷に火傷、擦り傷まで綺麗に治して、終わりました。
「くくくっ、痛すぎて気絶しちゃったわね、ライ、裸じゃ可哀想だから服を着せてあげなさい」
「あっ、そうだね、よし、リヴァイアサン柄の帽子を被せて、服はワンピースで良いよね? パンツは僕の分しかないから、新品の物を履かせておきましょう」
「あら、その帽子リヴァイアサンのヤツじゃないそのパンツも」
「ぬふふふ、格好いいでしょ?」
服を着せて、背負子を背負い、女の子を乗せて準備完了です。
「ま、まあ良いわ、行くわよ、まだまだお肉が足りないのよ」
そして僕は女の子を担いで外に出ました。
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