第2話 冒険者見習い
兄さん達が学校に行き五年が経ち、高い評価を受けて、無事に次の魔法・騎士学院に進みました。
卒業すれば、また一緒に暮らせるのかと楽しみにしていたのですが、成績が良すぎたそうで、王都にある学院に行く事になり、また寮生活になってしまうそうです。
なので、学院に行くまでの
「ライ、フィーアもすまないな」
「俺と兄貴はお父さんに付き添い、他の領地巡りと、成人のお披露目に王都に行かないと駄目なんだ」
「俺も、アースも出来るなら二人と、
仕方無いよね、シー兄さんは将来当主に、アース兄さんは補佐になるから、今の内から世間に顔を売り、人脈を形成して行かなければ駄目だからね。
「分かった、僕もフィーアも我慢するよ」
「シー様、アース様も次期当主と補佐の地位に就きます、今回の事は将来きっと役に立つ物の筈ですから」
一瞬だけ間を置き兄さん達は僕たちに突っ込んできます。
「良い子に育ったなぁ」
「こんな良い子の二人は他には居ないぞ!」
俺達二人を、兄さん達はサンドイッチにして抱きついてくる。
「
数分間ほど揉みくちゃにされ、解放された時には、僕もフィーアも髪の毛がぐちゃぐちゃになっていた、フィーアと顔を見合せ、笑顔になります。
「あははは、兄さん達は無茶苦茶です」
「あははは、髪の毛が、ぼわっ! ですよ」
「すまんすまん」
「はぁ、二人の成分を補給出来たし、明日の準備をしなきゃな」
「そうだな、二人には悪いが失礼するよ」
「きちんと荷物を用意しておかないと、お父さんとお母さんに叱られますからね、あははは」
「そうですよ、メ! ってされますから、あははは」
兄さん達は家に戻り、僕達だけになりました。
「仕方がないよね、じゃあフィーア今日は何にするかな?」
「ん~ライ、今日こそはゴブリンの村を全滅させましょうよ」
皆様お気付きだろうか、フィーアが、僕を呼び捨てにしている事を、それはもう
そのお陰で、二人の時と冒険者している時は呼び捨てルールが出来たのですよ。
おっと話の途中でした。
「まだそこそこ数は残っているよね、間引きをしながら、ゴブリンの村まで行ってその状況次第かな」
「ぶ~、前もそう言ってダメだったじゃない」
実は、ゴブリンの村の次はオークの村をやろうと言っていたのだが、少し前にフィーアの都合が悪くて、僕ひとりでオークの村を潰してしまったのです、ゴブリンが終わってしまうと次が無いのですよ、なので、次が出来るまではゴブリンで、お茶を濁すしか無いのです。
「あははは、仕方無いよ、もしフィーアが、怪我でもしてしまったら嫌だもん」
「も~、ライったら、わ、私もライに怪我なんてしてもらいたくないわ」
フィーアは頬に手を当て、くねくねしている。
あははは、やっぱり可愛いよね、誰にも渡したくないな、彼女になってくれるかなぁ。
「じゃあ、冒険者ギルドに行って依頼を受けようか」
「うん」
よし、なんとか切り抜けたし、ごめんねフィーアなるべく早く違う魔物を見つけるか、オークさんが、復活してくれるのを祈ろう。
家の門まできて、門番さんにご挨拶ですね。
「おはようございます、カヤッツさん、今日もご苦労様です」
「カヤッツさん、おはようございます」
「おはようございます、ライ坊っちゃんとフィーアちゃん、今日も冒険かい」
「はい、早く見習いからEランクになりたいですから」
「私はSランクになっちゃうの♪」
「あははは、そりゃ頼もしい、街壁の外はゴブリンも居ますから気を付けて下さいね」
「
カヤッツさんに、門を開けてもらって町へ出る。
冒険者ギルドは目と鼻の先なんです。
え? 貴族の家なのにって思いましたか? 簡単なことです、貴族は街や、村の皆からお金を税として貰っていますからね、その代わりに街の守りをしなくてはなりません。
だから貴族の家は街壁にくっついて建てられています。例外はありますがね、民を
だから、冒険者ギルドもこの北門にあるんですね。
冒険者ギルドに入っていつもの様に、ゴブリンの討伐依頼は請けません、薬草採取の依頼を請けます。
これはギルドの規定で、Eランクに上がらないと討伐の依頼を請ける事が出来ないからなのですが、いっぱい討伐してるけれどね、あはは。
まあ、僕達は年齢がまだ八歳なので、お父さんとお母さんが、『討伐は十歳になってから!』と言うので請けられないから、今Eランクになったとしても、請けることは出来ないのです。
収納の中がオークや、ゴブリンなど物凄く沢山入っていますが、十歳までは不動在庫になってもらっています、オークのお肉は内緒で家の食材倉庫に、こっそり入れておいたりしてますけど、あははは。
依頼の紙を手に持って、受付のお姉さんに渡して登録してもらいましょう。
「おはようございます、ライ君とフィーアちゃん今日も薬草採取請けてくれるのかな」
「はい、お願いします」
ギルドカードと依頼書をお姉さんに渡します。
「少し待って下さいね」
お姉さんはなれた手つきで登録を済ませ、何か魔道具を見て数を数えていますね。
「うんうん、間違いなさそうね、ライ君とフィーアちゃん、今回の薬草採取が完了すれば、Eランクになれるわよ」
え?
「本当ですか!」
「やったぁ~♪ ライ、見習い卒業出来ますよ♪」
「あら、まだですよ、だから今日も頑張って依頼をよろしくお願いしますね」
「
ほぼ毎日だよね、薬草採取の依頼を請けて、失敗無しでここまで来れたのは中々頑張ったと思いませんか。
フィーアと二人で通用口を通り抜け、街の外に出ていつもの通り森に向かいます。
森に入りしばらく行くと、薬草の群生地があり、手早く依頼の分を採取してしまいましょう。
「ライ、私の方は籠が山盛りになったよ」
「僕も、じゃあゴブリンの村に向けて進もうか」
「うん、頑張ろう!」
右手を突き上げ気合いを入れる姿も可愛いです。
森の奥に向けて歩きだします、直ぐに魔物の気配を感知して、見付からない様に気配を消しながら気配の元へ近付いて行きます。
木に身を隠しながらそ~っと覗くと、居ましたゴブリンです。
五匹のグループで、五匹はこん棒を手に、細くて、大股で跨いでしまえる程の小川で水を飲んで居ました。
サクッと倒して先に進みましょう。
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