清楚な幼馴染が突然ギャルに、ギャルな先輩が急に清楚に~最推しVTuberが、実は超身近にいたんだが~

境ヒデり

1章

ぷろろーぐ?

 アニメ、ゲーム、漫画、ライトノベルなどなど。今のオタク産業を支えるどの分野においても、可愛くて、キャラの立ったヒロインというのは必ず必要である。


 フラグの立ったあらゆる女性に対して、事あるごとに浮つき、ふらつき、流される主人公を健気に想い続けて、最後は結ばれる正統派ヒロイン。基本的には誰よりも主人公のことが大好きだが、謎に強く当たってしまい、結局は親友キャラに主人公を取られながらも友情によって美談めく締められる、ツンデレ系負けヒロイン。


 そんな、たくさんの魅力に溢れているヒロイン達は、日々主人公との関係性の中であらゆる方向に変化を遂げていくが、そんな彼女達のアイデンティティである『ヒロイン属性』というものは、日をまたいだだけでは絶対に変わらない、いや、変えてはならないものなのだ。


 前日まで、黒髪で身だしなみをきっちりと整えていたお淑やかな幼馴染が、急に髪を薄桃色に染めてピアスをしてきたらもちろん意味不明だし、前日まで、ゴリゴリの金髪で化粧を重ねていた一つ上の先輩が、突然黒髪ストレートと黒タイツ、スッピンな清楚になっていたら、どんな人気作でも炎上不可避というもの。


 しかし、もし……もし仮に現実リアルで、ヒロインとしてのアイデンティティを反転してきた幼馴染と先輩がいたとして、もし仮に、その二人から平日朝六時に叩き起こされた挙句、突然同タイミングで告白されたとしたら、果たしてそこが現実だと認識できるだろうか?まぁもちろん、現実リアルでそんなとんでも展開起こるわけない、そう、起こるわけがないのだが……


「私、湊月のことが好き!大好き!!」

「ウチの方がみっつんのこと大好きなんだから!!」

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