出ズル神ノ崩壊譚

ショコチャ

プロローグ 終わりを伝える者 繋ぐ者

これから流れる文章は、誰も知らない物語。


それは、彼女を愛したモノの叫び。


それに意思があるとは誰もが思わず、また語られる彼女ですらも知らない。





ただただ、風のごとく流れてゆくのみの物語…。




それは、世界が記した物語。




それは、世界が記憶した物語。




それは、彼女の幸せを願う物語。






その話、わたしが拾ってあげる…だから、泣かないで…すべてが終わったその時に、あなたの心が幸せであるように、私が必ず彼女に届けてあげる。








あぁ、あぁ…あの子に、幸福を…。あなたに、記憶を…。




これから語る話は…彼女へ、私が祈る、彼女のはなしだ…。




あなたが聞いて…あなたが、届けてほしい…。有り得ざる物語の介入者よ…世界の端を越えし旅人よ…。






うん、必ず届けるよ…エレムリアス…多くの人に、そして、あなたの祈りを彼女に…。








「あの子の名前はエレイン…私の大切な子の一人…今なお苦しみ続けている。」




エレムリアスは悲しみの重みを感じさせる、消え入りそうな、紡いだ音でそう始めた。




「あの子は、使命を与えられ、それをただ守ることのみが存在意義として生まれた。」




「あの子はそのことのみによって生まれた、その為たった一人、あの場で使命を守るために留まり続けた。故に孤独にあった、それは彼女の望むところでもありなんの苦もなかった。」




「しかし使命は彼女を運命へと駆り立てた。とどまり続け、平穏に何事もなくこの世の永遠を見守り続けることは無かった。」








「あの子と最初に出会った者は、心優しき緑の髪の青年だった。」




「穢れを知らず、ただ人の世のためにその身を削ることを厭わない無垢な心を持った男であった。」

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