Short Episode.02 第一回最強武器決定戦
ソムニア歴1000年 不変の月(秋)
俺がウィンミルトンに来てから約二週間、ここでの生活にも慣れてきた。
仕事はロナの手伝いが主で
本日は昨日の狩りの成果が良かったので、休みという事になった。
休みなので何をしようか迷っていると仕事を抜けてきたエリックとトールが話があるという事で酒場で話し合う事にした。
「で、話って何?」
店の席に着くと同時にロナが二人へそう切り出した。
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた」
トールがアホっぽい高笑いをあげながら、俺達を呼んだ理由を話し始める。
「今日は長年議論してきた問題に決着をつける」
「長年議論? ロスト、何かあったっけ?」
ロナさん、俺に聞かれても分かりません。
「いや、トールが変なテンションなだけで話したい内容は普通なんだ」
暴走しているトールを制し、エリックが議論したい内容を説明してくれた。
「自分達の扱っている武器で何が一番ゆう――」
「誰の武器が一番強いか決めるぞ!」
説明の途中で無駄にテンションが高いトールが割って入り、俺達二人は混乱する。
「「……は?」」
そして、話してる内容が理解できたと同時にそんな間抜けな返事を二人してしまった。
Short Episode.02 第一回最強武器決定戦
武器、それは戦闘に
No.1 剣
剣とは長い両刃の刀身を持つ武器の一種だ。
剣の良い所は、どんな局面においても扱う事の出来る
例えば屋内などの狭い場所では武器を振り回すのも大変だが、剣は他の武器よりサイズが小さいので小回りが
「やっぱり、
エリックが持ってきた剣を掲げ、俺達にその使いやすさをアピールする。
「はっ、
「お前、誰だよ」
未だに暴走し、調子に乗った発言をするトールに俺は横からツッコミを入れる。
No.2 槍
槍とは長い
槍の良い所は、柄の部分の長さ
少し離れた位置にいる相手でも、突きや払うと言った攻撃が出来て剣と比較すると多少だが安全に戦う事が可能だ。
「槍こそ最強! 槍こそNo.1!」
「はっはっは、我に敵なし!」
……あぁ、駄目だ、誰もこいつを止められない。
と、思っていたのだが……
「槍が――」
飽きずにテーブルの上で叫び続けるトールの足をすたすた歩いてきたアデラさんが掴み、そのまま床に引きずり下ろした。
「ぐぇあっ」
人間の声か疑わしくなる
「他のお客さんの迷惑だからやめろ」
「すみません」
トールがその場で土下座しながら謝罪している、果てしなくダサい。
No.3 アデラさん
これが最強で良いのでは?
「ロスト、真面目にやって」
「はいはい」
No.3 弓
弓とは木製の――
「あ、ロスト、弓は今回なしで頼む」
説明に入る前にエリックがそう呟き、話が中断させられる。
「えー、何で私のだけ?」
当然、持ち主であるロナが不満そうにエリックへ抗議する。
「すまない、実は……」
そう言ってエリックはロナに近付き、何やら耳打ちすると元の場所に戻った。
「なるほどなるほど、それなら仕方ないね」
事情を聞いたロナが意味深に何度も頷き、
俺には話せない内容なんだろうか?
「さて、候補の武器はこれで全部かな?」
「待て待て、もう一つあるだろ」
まとめにかかっているエリックを俺は止め、最後の候補である武器の説明を始める。
No.3 斧
斧とは――
「いやいや、ないない」
「何でだよ!」
先程の弓同様に遮られ、気合い入れて説明しようとした俺は腹を立てる。
「自分も斧はどうかと思う、扱いが難しいからね」
「難しくないって、俺でも扱えるんだから!」
エリックにまで反対され、俺はムキになって反論しようとするが……
「でも、盗賊と戦った時、一度も攻撃当てられなかったよね?」
「すみません、俺が間違ってましたー!」
ロナにぐうの音も出ない正論を言われ、俺は素直に謝罪する。
結局、斧は候補から外されました。
その後、剣と槍による頂上決戦が行われたが3対1で剣が優勝した。
「な、納得いかん」
小声でトールが何やら呟いているが無視である。
そんな訳で第一回最強武器決定戦は剣という形で幕引きを迎えた。
後日、ロナと家で
「今日はどうしたんだ?」
「ああ、今まで秘密にしてたがロストにプレゼントがある」
そう言ってエリックが取り出したのは一振りの剣。
「え、これを俺に?」
「そうだ、
エリックの話を聞き、山での採掘やどの武器が最強か議論を行った理由を理解した。
全ては俺に護身用の武器をプレゼントする為にやっていたのだ。
「ありがとう」
俺はそんな彼の気遣いに感謝し、笑顔でお礼を述べた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます