朝御飯
結局、いっぱい泣いて俊君は寝てしまった。
「終わったよ」
優生は、布団を片付けてくれた。
「連れてくか」
「うん」
優生は、床にひいたカーペットの上に俊君を寝かせた。
私達は、また川の字で眠った。
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「理名、大好きだよ」
私は、その声に目を開けた。
10歳の男の子に、頭を撫でられていた。
「おはよう、理名」
「おはよう」
「おめでとうって、言ってくれる?」
「おめでとう」
よくわからなかった。
「理名、僕ね。誕生日なんだ」
「えっ?!ええー」
「うるさいぞ、理名」
「ごめん。俊君が、今日誕生日なんだって」
「えっ?それは、起きなきゃいけないな」
優生は、起き上がった。
私も、ゆっくり起き上がった。
「俊君、誕生日のお祝いしようか?」
「おっちゃん、やってくれんの?」
「当たり前だ。その前に、洗濯回してくるわ」
時計を見ると、8時を回ったところだった。
おっちゃんってのに、笑いそうになった。
「理名、どうした?」
「優生は、おっちゃんで私は、呼び捨てか」
チョップを軽くした。
「ごめん。理名さん」
「いいよ、別に。洗顔しにいくけど、行く?」
「うん」
私は、洗面所に向かった。
私は、顔を洗ってうがいをした。
俊君も、同じようにしていた。
「優生さん、ごめんなさい」
布団を浴室乾燥機で、干してる優生に俊君が謝った。
「おっちゃんやめたのか?別にいいよ。気にしてない。誰だってやるよ。小さい頃は」
「あ、ありがとう。」
俊君は、照れていた。
私は、キッチンに行って朝御飯の支度をする。
いつも、子供だからって、どこかしら許せなかった。
従姉妹の子供がやってきて、大切にしていた花瓶を壊された。
子供のする事だからって言われた。
優生の従兄弟の子供に、「子供できないって変なんだね」って言われた。子供の言った事だから気にしないでと言われた。
いつの間にか、子供だからって許してって言葉が大嫌いになって、子供だからって多めに見れなくなった。
苦しくて、不自由だった。
断崖絶壁で目隠しで、綱渡りで歩いてるような感覚だった。
いつでも、落っこちれた。
最初は、子供はゆっくりでいいと思ってた。
流産してからは、信じられない程にしがみついた。
欲しくて、欲しくて、堪らなくて、あっち側に行きたかった。
「沸騰してるよ、理名」
「ごめん、ありがとう」
火を止めて、お味噌をといた。
私をあっち側に、この子は連れて行ってくれた。
もぎ取った羽根の一枚を私に渡してくれた。
「理名、大丈夫?」
「なんで?」
「泣いてるから」
「えっ?あっ、本当だね」
俊君は、私の手を握りしめてきた。
「僕が、守ってやるから!心配するな。理名」
「ありがとう」
精神ヤバいじゃん、私。
泣いてるのにも、気づかないなんて
「向こうで待ってて、朝御飯するから」
「うん、待ってる」
「はい」
ニカって笑って向こうに行った。
君の好きが、何かはわからない。
それが、恋なのだとしたら一線だけは越えないようにしなくちゃいけない。
って、11歳は対象外だわ、普通に
ただ、あの子も大人になっちゃうもんねー。
そう考えたら、ちゃんとしなきゃいかんよ!わたし
私は、ハムを並べて卵をそこに割っていく。
小さな小鍋を出して、冷凍のブロッコリーを湯がいた。
まだ、俊君の手は小さかった。
可愛すぎるぞ
ちょうど、ご飯が炊けた。
家族が、もう一人いたらこんなんだったのかな?
私は、ワンプレートに盛り付ける。
何だかんだいって、ワンプレートが楽なのだ。
トマトとブロッコリーとレタスに、ハムエッグとご飯。
マグカップにお味噌汁をいれて持ってく。
口の広めのマグカップを我が家では、味噌汁いれに使用してる。
味噌汁の茶碗は、熱くてもてないから二人とも苦手だった。
優生と私は、優生のもうアプローチから付き合い半年で結婚した。
結婚してから、私も優生にどんどん惹かれていった。
優生は、噛めば噛むほど、味がでるスルメみたいな人だった。
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