告白
私は、出勤するも昨日の嫌な気持ちを引きずっていた。
「理名さん、今日暗いですよ。いつもの理名さんが一番ですよ。」
「そうよね、ごめんね。」
私は、緑ちゃんに笑った。
すっかり仲良くなって、私達は下の名前で呼び合うようになっていた。
「今度の休み、映画見に行きませんか?」
「いいね。行きたい」
「こういうの嫌いですか?」
「ボーイズラブだね」
「はい」
「好きだよ。色んな意味で、人生が幸せになった。」
「それって、あのドラマですか?」
「そうそのドラマ」
緑ちゃんは、眉を潜めながら…。
「理名さんは、不妊って話してくれましたよね」
「そう、あの【蛹は、蝶の夢を見る】は、男性同士の恋愛を
「スペシャルドラマにしては、中身が濃かったですよね。吉宮凛と鴨池はやてのW主演でしたね」
「そうそう、あのドラマ。本当によかった。」
緑ちゃんは、笑っていた。
「この、ボーイズラブはあのドラマの人ね。」
「そうなんです。私、大ファンなんですよ。南沢雄大が…。
「あー。小太郎と衛ね。」
「そうです。」
「サナチョーか、覚えとく」
私は、その日緑ちゃんとボーイズラブの話しで盛り上がった。
いつものように、ガムを買いに男の子は、やってきた。
「ありがとうございました」
帰ってく姿を見ていた。
「あの子、理名さんが休みの日こないんですよ」
「えー。そうなの?気のせいじゃない」
「ですよね」
私と、緑ちゃんは時間が来てあがった。
「じゃあ、また連絡しますね」
「はーい」
緑ちゃんは、帰って行った。
私は、コンビニを出た。
たかだか、生理がきただけ…。
諦めるって決めたじゃないの
歩いてるだけで、涙が流れてきた
ダメダメ、ちゃんとしなきゃ。
「泣くなよ」
「えっ?」
私は、その声に振り返った。
「だから、泣くなっていってるだろ?」
ガムを買いに来る少年に、何故か怒られていた。
「おばちゃんを心配してくれて、ありがとうね」
無理矢理、笑っといた。
今は、子供に何か関わりたくなかった。
「おばちゃんじゃない。」
「えっ?」
彼は、私の前にやってきた。
本当に、勘弁してよ。
子供は、見たくないのよ。
「ありがとう、気をつけて帰ってね」
適当に、あしらって帰りたかった。
私は、今日限界なのよ。
子供を視界にいれたくないのよ。
わかんないよね。子供だから…。
言ってしまえば、楽だけど
こんな、小さな子供に言ったら馬鹿みたいだ。
大人としての自分は、保っていたかった。
「さよなら」
「待って」
小さいながらに、私の手を掴んでくる。
「何かな?おばちゃん、急いでるんだよ」
「だから、おばちゃんじゃない。理名」
「何で、名前知ってるのかな?」
「店員さんが、呼んでたから」
「あー。それでか」
こんな、小さな子供に振り回されたくないんだよ。
手を振りほどくわけにもいかないし。
「あのさ、誘拐犯とかに間違われたりしたくないから離してくれたいかな?」
「嫌だ!泣くなら、僕の胸で泣いて」
と小さな胸を反対の手で叩いた。
あー。凄くめんどくさい
新手の嫌がらせなのだろうか?
「君の気持ちは、嬉しいけどね。悪いけど、急いでるから離してくれないかな?」
やんわり言ってみた。
「君じゃない、朝比奈俊だ!」
「俊君か、いい名前だね。おばちゃん本当に帰りたいんだよ」
お腹も痛くなってきたし、子供に手を掴まれてるのもしんどかった。
「嫌だ!離さない」
もう、限界だった。
「あのさぁー。本当に帰りたいのいい加減、鬱陶しいんだけど…。わからないかな?」
その言葉に、彼は驚いた顔をした。
(母親が子供に言う台詞?)
(最悪、虐待だよ、虐待)
通りすぎる人の視線と言葉が、痛くて、痛くて、涙が出てきた。
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