12

 いろははとても豪華な晩御飯(すき焼きだった)お風呂に入って(とても大きなお風呂だった)それからお借りしたパジャマに着替えをして、客間に用意されている自分の布団の中に入った。

 ……今日は思ったよりもいろんなことがあった。楽しかったし、幸せだった。人生まだまだ捨てたもんじゃないな。

 と、そんなことをいろはは思った。

 こんなにも『素敵な出会いが偶然にも起こるもの』なのだと思った。

 いろははあゆみと連絡先を交換していた。

 また、今度はちゃんと約束をして、どこかに遊びに行こうと二人で話した。(それは本当にとても楽しみな約束だった)

 疲れてはいたけれど、少し興奮もしていた。

 だから、すぐには眠れないかと思った。

 でも、ちゃんとすぐにいろはは眠ることができた。

 眠る前にそっとふすまが開いて、一度あゆみがやってきた。

 あゆみはいろはに「おやすみなさい。いろは先生」と言った。

「うん。おやすみなさい、あゆみさん」

 あゆみを見ながらいろはは言った。

 あゆみの顔は光が逆光になっていて、影になりよく見ることはできなかった。

 ふすまが閉じて世界が真っ暗になった。

 それからいろはは目を閉じた。

 いろははそのまま深い(とても深い)眠りについた。

 その深い眠りの中で、いろはは、夢はなにも見なかった。


 朝、いろはは気持ちよく目覚めることができた。

「おはよう」

 といろはは自分に言った。

 それからいろはは自分の家に帰るための準備を始めた。

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