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電車の中でいろはは自分で作ってきた手作りのお弁当を食べた。
おにぎりを頬張りながら、いろはは変わっていく電車の窓の外の風景を眺めていた。
すごく気持ちが良かった。
こんなに気持ちいいと感じたことは、本当にずいぶんと久しぶりのことだと思った。
体の力がすっと抜けていくような気がした。
いろんなことを考えないでいいようになった。
時間がすごくゆっくりと流れているような気がした。
……あれ? なんだかすごく楽しい気持ちになってきた。
そんなことをいろはは思った。(その気持ちは嘘ではなかった。その証拠に窓に映っているいろはの顔は笑っていた)
いろはは最後のおにぎりを食べ終わった。
頑張って(真心を込めて、じっくりと二時間かけて)作ったお弁当だったけど、残してしまうかな? とちょっとだけ心配だった。
でも、そんなことは全然なかった。
お弁当はきれいに空っぽになった。
「ごちそうさまでした」
そう言って、手を合わせて、いろはがごちそうさまをしているときだった。電車がゆっくりと減速をしはじめて、やがて目的の駅に止まった。
「ついた」
と目的の駅の名前を見て、そんなことをいろはは言った。
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