21話 決戦の為
21話 決戦の為
聖一は仲間たち全員と合流した。
(皆と会えるだけで心が暖かくなる。これが仲間なんだな。俺の心の中の子供がはしゃぎたがっている。)
聖一は皆と会えて嬉しくてニヤニヤが止まらない。
ここ決戦が原にて、2週間後にはビッグバンベヒーモスと決戦である。
ビッグバンベヒーモスはこの世界の諸悪の元凶。
最強にして最悪のモンスターである。
聖一とマホとシャマだけでも勝てるかもしれない。
しかし。
しかしだ。
…勝てないかもしれない。
(どうやら色々頑張ってるうちに俺はこの世界でも指折りの強さを持つ冒険者になってしまったようだしね。俺が負けたら、この世界ごとThe Endな訳だしなー。まぁ、負けられないんだよ。当然。この戦いは絶対に勝たなくてはならない。)
「よし!決戦のための準備も気合い入れていこう!」
「そうね。頑張りましょう!」
ビッグバンベヒーモスと戦う為に気合いを入れ直す聖一。うなづくマホ。
決戦に当たってパワーアップするために戦いを繰り返した、聖一、マホ、シャマ。
そしてビッグバンベヒーモスとの決戦に当たって準備をしていたのがジャイ、ムスメ、アント、ハイエル、ハネビ。
そしてドラゴン素材を加工することに成功して、途中から準備組に合流したスミフ。
ここからは、すべてのメンバーでビッグバンベヒーモスとの決戦の準備をする。
決戦まではあと2週間。
準備組は、2週間の間に色々準備していたようだ。
(凄いな。戦う予定の平原から少し後ろに100人くらいが寝泊まりする仮設住宅がたってるぞ。)
決戦が原の少し後ろに、屋根と仕切りをベニヤ板を使って作った仮設住宅が立っている。
これはジャイの伝手で20人程の大工を呼んで完成させたようだ。
1人3畳くらいの部屋が割り当てられていてトイレは共同だが、大浴場が併設されている。
(お、でっかい風呂もあるな。これだよこれ。疲れを取るには風呂ですよ。)
これは事前に聖一がジャイに申し出たもので、鋭気を養うには温かい風呂だと聖一は思っていたから発注したものである。
聖一の予想通り大浴場は好評のようだ。
仮設住宅の横にはテントが立っている。
聖一の仲間たちはどうやらずっとテントで生活していたようだ。
(ありゃりゃ。なんか仲間たち皆、疲れてるなーと思ったけども、ずっとテント泊だったのか。)
仮設住宅の横にワガマチから基礎工事ごとブラックホールにいれて運んできた我が家を取り出す。
「俺たちは今日からここに泊まろう!!」
聖一と仲間たちは我が家に泊まることにする。
(あ、そうだ。)
「ジャイとムスメも俺んち泊まれよなー!」
「え、ワシらも泊まっていいんですか?悪いですじゃ。」
「申し訳ないんだから~。」
ジャイとムスメが恐縮している。
「おい!いいに決まっている。遠慮するなよ。仲間だろー!」
聖一は遠慮はいらない!と、ジャイとムスメも持ってきた自宅に泊めるようだ。
「あ、ありがとうなんだから!エヘヘー。」
ムスメが無邪気に笑顔で喜んでいる。
「聖一さーん、大好きですじゃぁ~!!!!」
ジャイが聖一の腕に絡んで、腰をスリスリしている。
どうやら聖一に仲間といわれたのがとても嬉しいようで、何故か求愛行動を取っている。
そして、その仮設住宅のすぐ近くで大工さんたちが簡易的な補給用の砦を作っている。
簡易的な補給用の砦。
といっても多様な役割がある。
ビッグバンベヒーモスとの戦いの準備は大人数になるのでご飯をまかなわなければならない。
その為に、兵糧を貯蔵したりする場所が必要になる。
兵糧の貯蔵庫としての役割。
そしてそれを料理する必要がある。
大きなキッチンとしての役割。
また、移動用の馬やラクダやランドハイヤードラゴン等を繋ぎ止めておく事が必要になる。
その為の厩舎。
簡易の砦はそういう役割を持った施設にするようだ。
ちなみに簡易の練兵場だったり武器の補給にも使われる施設で、この決戦の要と言っても過言ではない。
武器を作ったり、砦の建設で、大量に得たお金が凄いスピードでなくなっていく。
大工20人の他、実はギルドに依頼して大勢の人を呼んでいる。ギルマスのギルマも来ているようだ。
「まじ卍なんたけどヤバみー!」
弓矢使いと魔法使いを合計20人程と、偵察に3人、罠等のスペシャリストいわゆる工兵を7人。合計30人が来ている。
「弓使いが決戦の時に、強力な一撃を連発できるように魔法込めてあげなさーい!ていうかまじ聖一君は私の好きぴー。」
ムキムキの体をクネクネさせながら冒険者に指示を出すギルマ。
(え、好きぴなの?俺、ギルマの好きぴなの?うけるー!あ、俺の中の未就学児が好きぴってなに?って言ってる。まあまあ、あと18年もすれば分かるさ。)
弓兵が使う矢に魔法使いがジャンジャン魔法をエンチャントしている。
魔法使いの得意魔法なので炎だったり氷だったり、風の切断魔法だったり様々だ。
これも矢じりはドラゴンの素材を使っている。
覚醒したスミフが数名の鍛冶屋を指揮している。
キングドラゴンの牙や爪の他、魔法の通りをよくするために眼球も使っている。
ちょうどキングトラゴンの素材が切れかけていたらしくパンチドラゴンの素材を使うようだ。
決戦当日は魔法兵の援護射撃と、弓兵の魔法がこもった援護射撃が期待できるだろう。
ここまでの作業内容はあくまで仮設住宅だったり簡易の砦であったり決戦に直接つながるものではない。
決戦に使える防壁と砦を作るに当たって、どうやらアントとハイエルから話があるようだ。
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