第17話 結論 × イタリアで買わされた仮面
例の6人組と会う約束をして、今は待っているところだ。
既に周知のことだが、リンとエミリオの長所は行動力だ。
すぐに、宿泊先のホテルの会議室を貸してもらった。会議室という呼び名だが、普段は貸し切りで食事したりする場所のためきらびやかだ。
少し待っていると、ノックがされて6人組が会釈しながらずらずらと入ってくる。
今日も自信がないのか、気弱な印象だ。
『これは間違いなくリンに押し切られるな』
エミリオはそう思った。
リンから話し出す。
「来てくれてありがとう。単刀直入に聞くけど、君達は【u-tube】で稼いで生活したいんだよね? で、それが伸び悩んでいて、そのヒントが欲しいってことで合ってる?」
6人組のリーダーらしき人間が口を開く。
「はい、そうです」
「答えになってないかもしれないけど、エミリオと2人で話して、結論は出してみたんだよ。聞いてくれるかな?」
「僕はエジプト人と日本人の混血で、サイード・アリです。一応リーダーをさせてもらってます。是非お話を聞かせてください」
彼以外も頷いている。
「全員、僕達とアメリカに来て、アメリカで8人組で【u-tube】デビューしなおさないかな? あ、僕達2人は大学にもいく予定だから、これを被ってみんなで動画を撮ろうと思ってるんだよ」
リンは、机にイタリアで買わされた仮面を、20個程並べた。
「自分が好きだと思ったの選んでいいよ」
6人とも開いた口が塞がらないとはこの時に使う言葉で100%間違ってないと言うような表情をしている。
エミリオは思った。
『うん、それが普通のリアクションだよ』
まだ、6人も困惑している。
そこにリンが追い討ちをかける。
「僕は、君たちを救いたい。君たちは、動画で有名になって、それで生活できるぐらいになりたいんだよね? 僕たちは、大学在学中にお金を稼ぐような仕組みを作る必要があるんだ。大学へ行ってる間の収入は全て君達の稼ぎにしていいよ。8人で動画を撮って、僕たちが世界旅行をして出会った人達みんなに紹介して広めてもらう予定だよ。そしたら、すぐ視聴回数なんて稼げると思う。でも僕らは動画編集とかの技術がないから、みんなを頼らせて欲しい」
「あ、後、これだけは守って欲しいんだ。僕たちは、混血で嫌がらせ的なものを受けたから、同じ境遇の人間を救いたいと思って世界旅行を始めたんだ。
だから、君たちのことを救いたい。
でも、世界旅行をして、不平等な仕打ちを受けている人もたくさんいて、そんな人たちも救いたい。と思うようになってさ。だから、僕たちは一部の国のルールも変えたいし、地球規模でみんなを幸せにしたい。努力をしない人は、それ相応の評価にはなると思うんだけどね。そういったことを僕は実現したいんだ。将来的には、僕が先頭に立つつもりだけど、僕よりそれが適していると判断した人が現れたら僕は【u-tube】で稼いだ全額を投資するつもりだよ。もちろん君たちが普通より裕福に暮らせる程度の還元はした上でだけどね。エミリオは理解できるよね?」
「もちろん、リンの言うことは理解できてるし、僕も同じ意見だよ」
「さすがエミリオ、ありがとう」
「どう、そこまで環境も条件も変えて、君たちの人生を僕たちに預けてくれるなら、僕たちは、君たちの力になれると思うよ?」
「少しみんなで考えさせてください」
それはそうだ。当然の回答である。
「うん、OK。僕たちが日本にいる間に決めてくれたらいいよ」
客観的に見てもリンの独壇場だった。
やはり、世界旅行をした経験はかなり有効に働いている。自分を優位にする交渉手段や、相手の気持ちをこっちに引き込む話術、その辺が勝手に身に付いてしまっている。
リンは意識下になくても、きっちり期限を切って、条件提示していた。
……
しばらくしてから、サイード・アリから連絡があった。
「6人で相談した結果を聞いてもらいたいのでお時間を頂戴したいです」
リンとエミリオは目を合わせてニヤリと笑った。
再度、リンとエミリオ、サイード・アリ率いる6人組が話し合いの席に座る。
「リンさんとエミリオさんと、一緒にやらせてください! 僕達はお二人を信じて、お二人に従います。でももし、成功しなかったときは、また考えさせてください」
「いいよ」
リンは絶対的な自信でそう答えた。
リンの中で失敗はなかった。
……
ぼくたちは8年後、鉱物採掘会社を買収する。
遊園地の景品が充実する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます