第24話 続行

(ま…負けた? このあたしが……?)


 開けられた手をみてもクロエは信じられなかった。そんなバカな……。


「いっとくがイカサマはしてないぜ」


 クロエは手を開けると、ラモンの借用書を差し出した。

 ラモンはマッチに火をつけ、クロエの目の前でそれを燃やす。これでラモンの借金はチャラになり、逆にクロエが1000デナルの借金を背負うことになった。


「さて、残りのカネはいつかな?」


 ラモンが余裕しゃくしゃくの態で足を組みながら訊く。


「こっちは8年待ったのよ」


 記載されていた借用書の日付はいまから8年も前のものだ。一転して債務者となったクロエはサントスやコルブッチの気持ちが痛いほどわかる。


「いいだろう。おれも8年待ってやる」


 そういうとラモンは手を振った。さっさと出ていけという合図だ。


「勝負は終わってない」


 クロエがチップ10枚を場に出した。


「つづける気か? 負ければ2000デナルだぞ」


「払うわ」


「どうやって? いますぐ払ってもらうぞ」


 甘い顔みせりゃつけあがりやがって……とラモンの顔が不快げに歪む。

 クロエがレッグホルスターに納まっている銃把に手をかけた。

 ラモンが抜く手もみせず拳銃リボルバーを突きつける。


「なんのマネだ?」


「びびらなくてもいいよ。質草をみせるだけだから」


 クロエがゆっくりとした動作でYAMANEKOを抜いてテーブルに置いた。


「ヤマネコ……どうしてこれを……?!」


 ラモンの目がカッと見開かれる。

 禍々しいものを見たかのように……。




   第25話につづく

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