47.心配なのは
私は、自室に戻って来ていた。
これ以上フレイグ様の部屋に残っていても、私にできることはない。そう思って戻ってきたのだが、頭の中は先程のことでいっぱいだ。
一体、これからどうなるのだろうか。それが気になって仕方ない。
『アーティア、大丈夫ですか?』
「クーリア……?」
『ええ、私ですよ』
そんな私に、クーリアが話しかけてきた。
先程まで、ラフードと合わせて姿が見えなかったのだが、いつの間にか部屋に入って来ていたのだ。
『声をかけたのですが、返答がなかったので心配しました。どうかしたのですか?』
「あ、ごめん……その、これからのことを考えていて……」
『なるほど、そういうことでしたか……まあ、それは当然ですよね。あんなことを聞かされた後ですから、それも無理はありませんよね』
どうやら、クーリアは部屋に入る前に呼びかけてくれていたらしい。ラフードと同じく、そういう所は気を遣ってくれていたようだ。
しかし、私はそれに気づかなかったようである。色々と考えていた結果、周りの音が聞こえなくなっていたようだ。
それは、申し訳ないことをしてしまった。いくら心配なことがあったからといって、人の声を聞き逃すなんて失礼の極みだ。
「本当にごめんね……それで、どうしたの?」
『ああ、アーティアのことが心配なので、様子を見に行って欲しいとラフードに頼まれたのです』
「そうだったの?」
『ええ、色々と話を聞いてから、深刻な顔をしていたからと彼は言っていましたよ』
「私は、その予想通りの状態になっていた訳だね……」
『そのようですね』
ラフードは、私がこんな状態になることを見抜いていたようである。
彼とは、それ程長い付き合いという訳ではないが、私のことを結構理解してくれているようだ。そういう人の本質を見抜ける所も、あのフレイグ様の心を開けた理由なのだろうか。
『彼は、もう一人心配な奴がいるからとあちらに残りました。ああ、女性同士の方が話しやすいだろうとも言っていましたね』
「そっか……」
ラフードの言う通り、フレイグ様のことも心配である。
ラムフェグが復活したと聞いて、彼はかなり深刻な顔をしていた。その顔を見ていると心配になるというのは当然のことだろう。
もちろん、彼以外にこの問題を解決できる者はいない。だが、それでも、彼が全てを背負って戦うということには、心配なのである。
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