2話 金髪碧眼美少女

 俺は森の中に戻る、森の中で異世界に迷い込んだとすれば出口も森の中にあるはずである。

 あるに違いない、いやあってほしい。

 俺は森の中を歩きながら、落ちているリュックサックやカバンを漁る。

 保存食を探しているのである。

 そして夕暮れになると俺は木の根元に陣を張り、木の上で夜を過ごす。

 暗くなると招かざるものが来る。

 一つ目の赤鬼だ、それも3匹いる。

 3匹は、陣の周りをうろつくが、しばらくしてどこかへ行ってしまう。

 一つ目の赤鬼は、夜行性の様だ。

 だが、日中でも一度に何匹も相手をしていられない、明日からは赤鬼に気を付けることにする。

 朝になったが異世界の森のままだ。

 俺は、拾い集めた缶詰で朝食をとる。

 森の中を歩き回っていると、一つ目の赤鬼に出くわす。

 赤鬼は

 「ぐげげげ」

と叫ぶ。

 俺は仲間を呼ばれたと感じる。

 丹田たんでんに力を籠め、柏手かしわでを打つと赤鬼は倒れる。

 俺はすぐにその場から離れようとするが、すでに3匹の赤鬼が迫ってきている。

 1匹は仕留めることはできるが、あとの2匹はどうにもならない。

 しかし、俺は諦めが悪いのだ。

 丹田に力を籠め、柏手を打ち先頭の赤鬼を倒す。

 だが2匹目は間に合わない。

 そこへ白いものが躍り出て、赤鬼を2匹とも倒す。

 それは花柄の白い着物を着た、刀を持つ、仮面の女性である。

 仮面は狐の面で髪は金髪である。

 彼女は俺を見る。

 俺は言葉が通じるかわからないが

 「助けてくれて、ありがとうございま

  す。」

と言う。

 彼女は質問で返す

 「よく生き残っていたな、迷い人か?」

 「迷い人?」

 「異世界から迷い込んでくる人のこと

  だ。」

 「そうです。」

 「よく一つ目にやられずに生き残ってた

  な、魔法が使えるからか。」

 「払い屋をやっています、赤鬼は気で殺し

  ました。」

 「これは一つ目だ、赤鬼は大きいぞ。」

俺は彼女と日本語で会話をしている。

 不思議な感じだ

 「俺は熊野つな、つなと呼んでくださ

  い。」

 「私は柏森かしわもりの清音、清音でいい、剣士を

  している。」

彼女は仮面をかぶっているため年はわからないが少女の様だ。

 清音は短剣で一つ目の角を切り始める。

 「何をしているのですか。」

 「一つ目の角はかねになる。」

それを聞いて、俺は自分の倒した一つ目の角をなたで切り始める。

 俺は2本の角を回収したので3本の角を持っている。

 「角はいくらになりますか。」

 「銀貨1枚だ。」

 「いくら位かわかりません。」

 「お金には銅貨、銀貨、金貨があって

  銅貨10枚が銀貨1枚、銀貨10枚が

  金貨1枚だ。」

俺にはお金の単位はわかったが、どのくらいの価値かよくわからない。

 俺は生き残るため、少女に同行を求めることにする。

 「一緒につれて行ってくれませんか。」

 「いいのか、私は流れ者だぞ。」

 「どういうことですか。」

 「私は顔のせいで忌み嫌われ、一所にいることができないのだ。」

俺は仮面の下がどんな恐ろしい顔か想像する。

 彼女は仮面を外す。

 そこには、金髪碧眼の美少女が現れる。

 サラサラの金髪に整った顔立ちに澄んだ泉のような青い瞳である。

 俺は一目見て心を奪われ放心状態になる

 「きれいです。一生一緒にいましょう。」

思わず、俺の口から漏れ出す

 「からかっているのか、この髪と目の色を

  見て嫌っただろう。」

 「むしろ、好みです。」

俺は思わぬギャップに心に思っていることが駄々洩れになる

 「つなは迷い人だったな。」

清音は赤くなりながら仮面をかぶる。

 ああ、もったいない、俺の癒しが・・・

 こうして、俺は清音と行動を一緒にすることになる。

 この後、森の中で一つ目を清音が9匹、俺が3匹狩る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る