代二団

銃弾の雨でみんな死んでいく




あやとりを教えてくれたアイちゃん


雨の日にふさぎこんでいた自分を慰めてくれたエイくん


男子に代わりに怒ってくれたオウちゃん




血を花吹雪みたいにして倒れていく


全てがスローモーションみたいだ




割れたガラスが枯れ葉みたいに飛び交って 拍手みたいな銃声がこだまして




それでも私の心は平坦のまま。さざ波もたたなかった。




「状況終了。指示通り黒いワンピースの少女は保護しています」


「わかった。被検体AはそのままポイントGまで連れていけ。いいか、くれぐれもストレスをかけるな」


「了解」


黒ずくめで特殊装備の5人は赤く染まった実験室を抜け、周囲を警戒しながら廊下を進む。警報が鳴っているが到着までには余裕で脱出できるだろう。




地上に通じる大型のエレベータに乗り込み少し息を整える。本来であれば襲撃中のエレベータの利用は大きなリスクを伴うが、電気関係はすべて掌握済である。長い階段は少女がいては移動しづらいだろう。




横に立っていた男が少女の髪のごみを払ってあげた


「もうすぐ地上だ。一緒にいた子が死んでショックだろう。申し訳ないが違う施設に入ることになる」


『ねぇ』


「な、なんだ」


『上の人に聞いてなかったの?』


黒いヘルメットの中は反射で見えないはずだが、明らかに目を合わせ少女は尋ねた。


「なにを?」


『ふふ、やっぱりそうだ』


男の胸ポケットを掌でゆっくりなぞる。


『私がお願いしたんです。みんな殺してって』


少女はあどけなく笑って見せた。なんの邪気も感じられない、それでいて謎の魔力で吸い込まれそうになりそうな笑顔だった。






数分後、エレベータ前で待機していた小隊はは5つの球体を目撃する。


黒い服と銃が散乱した中赤くどす黒い球体の重さは、平均的な男性の体重と同程度である。

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