山にこもって姉弟子と修業し続けてたら、いつの間にか人類最強になってた~田舎者と馬鹿にされたけど、都会のエリート学校のレベルが低すぎて悩んでる~
第14話 その『ジュリス家』って…そんなに偉い家系なんですか?
第14話 その『ジュリス家』って…そんなに偉い家系なんですか?
「いや、何者とか言われても……今日、入学してきたばかりですし……それに、山から下りてきたばかりで何も知らないわけでして……」
「や、山から……?」
俺の言葉に、ラングース先輩があんぐりと口を開きながらそう口にすると、周囲の生徒達も同じように口を開いていた。……あれ? 俺、変なこと言ったかな?
周りの反応に困惑していると、やがてどっと笑い声が響き渡った。
しかも、残念ながらその笑いは明らかに俺を嘲笑するようなもので、その中心に立っていたラングース先輩はあまりにも笑い過ぎた所為か、目に涙を貯めてしまっていた。
「へ~、俺が田舎者なのがそんなに面白いんですね~」
「ご、ごめんなさい……だって、あなたがあまりにも変なことを言い出すものだから」
「俺はただ、事実を言っただけなんですけどね」
その間にも周囲からの笑い声は止まず、俺は呆れた様子でため息を吐く。
すると、笑いを抑えたラングース先輩が勝ち誇った表情で俺の正面に立った。
「まさか、お上りさんだったなんて……それなら、この誇り高き『ジュリス家』の次女である私を知らなくても無理も無いわね」
「あの~、すいません」
「何かしら?」
「その『ジュリス家』って……そんなに偉い家系なんですか?」
俺が笑われた仕返しとばかりにあえてそう口にすると、ラングース先輩の眉間がピクリと動くのが見えた。
それでも、周囲の目もあるのか貴族として怒鳴り散らしたりすることなく、頭の上に怒りマークでも付いてそうな笑顔で俺の質問に答えてくれる。
「ま、まあ、お上りさんなら知らなくて仕方がありませんわね……。もちろん、『ジュリス家』は名立たる貴族の中でももっとも優れた家系ですわ。現に私はこの学校で二年という月日の中で全て一位を取り、エリートという看板を背負っているんですもの」
「へ~、ラングース先輩ってすごいんですね」
「え? も、もちろんですわ」
素直に褒めると、ラングース先輩は虚を突かれたらしく、ロールパンのような巻き髪の毛先をいじりながら頬を赤らめ、照れてしまっていた。なんだ、いきなり決闘とか制裁とか怖いことばかり言うからアレな人だと思ってたけど、案外良い人なのかもな。
しかし、なるほど……だとしたら、そんなエリートが居る学年に入ったミューイも大変そうだ。いくら師匠に鍛えられたからって、貴族相手じゃ分が悪いもんな。
向こうは金を払ってすごい師匠を付けてるんだろうし、そんな中で俺らみたいな付け焼き刃が対抗出来るはずもないし。
俺がそうしてミューイのことを案じていると、ふとラングース先輩が我に返ったらしく、再び困惑した表情で俺へと質問を投げ掛けてくる。
「でも、そうだとして何故あなたは理事長室から出て来たんですの? 当然ですけれど、あの場所は普通の生徒は立ち入り禁止になっているはずですわ」
「あ~、いや、それは―」
正直に答えても良いものか悩みながら俺が返事を返した時だった。
「―ちょっとレクト。こんなところで何やってるの?」
聞き慣れた声が耳をつき、俺は咄嗟に振り返る。
すると、そこには姉弟子であるミューイ・イゾットが不機嫌そうな様子で両腕を組んで立っていた姿があった。
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