第11話 俺みたいなモブがどうやって生きていくんだ
そんな俺の不安をよそに、理事長は事もなげにレフィリー先生の質問に答えていた。
「先程も話した通りだ。旧友からの紹介で彼をこの学校に入学させたのだよ。彼の師は私にとっても弟子のようなものだからな」
「り、理事長……そ、それはいくら何でもマズくないですか? この学校には腕利きの生徒達が死に物狂いで来てるんですよ? それを権力だけで入学させるのはちょっと……そもそも、そんな無理矢理入らせたとしても……その、実力が無いとこの学校で生きていくのはつらいんじゃないかと思うんですけど……」
ですよね~。
どう見ても、周りが強豪ぞろいなのに、俺みたいなモブがどうやって生きていくんだって俺も思ってましたもん。
何だかんだで俺を心配してくれるレフィリー先生の言葉にうんうんと頷いていると、理事長はそんな彼女とは正反対の対応を見せる。
「そのような心配は必要ないだろう」
「え……? ど、どういうことですか?」
理事長の言葉にレフィリー先生が驚いたように返す中、理事長は俺の方に視線を向けてくると、理事長はその表情を変えることのないまま、とんでもないことを言い始めた。
「彼の実力は相当なものだ。それは私が保証しよう」
「………………………………………………はい?」
ちょっと待って、この理事長は何を仰っているんだろう。
俺、理事長の顔を見たのも初めてなのに『私が保証しよう』とか言われても……。
そんな俺を置いて、理事長の言葉に驚いたレフィリー先生は一瞬言葉を失いながらも、緊張感のある声を返していた。
「……それは、彼は理事長が認める程の実力を彼が持っているということですか?」
「ああ。先程も言った通り、彼の師は私の旧友でな。その彼が認める程の実力なのであれば、間違いない」
「理事長が認める程のお方……あ、あの、彼の師とは一体……?」
あぁ……知らないうちに俺のハードルが勝手に上がっていく。
もはや置いてけぼりになった俺は理事長室の窓から見える空を眺めながら途方に暮れていると、理事長が少し驚いた様子を見せていた。
そして、俺の方へと視線を向けてくると、感情の起伏が少ない声で尋ねてくる。
「なんだ、彼女に君の師の名前を伝えていないのか?」
「いや、一応伝えてはいるんですけど……なんか、大陸一の魔法使いと同名な所為で信じてもらえなくて……」
「ちょ、ちょっと待って!? あなたの師匠って本当にロッソ・イゾットって名前だったってこと……?」
「え? まあ、そうですけど……」
驚いた様子で俺にそう尋ねてくるレフィリー先生。
そんな俺達の様子を目にしていた理事長だったが、しばらくの間、目をつむった後、真剣な表情で聞き捨てならない事実を口にした。
「ロッソ・イゾット―この大陸で唯一、私に敗北を味合わせたことのある男だ」
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