第24話 鉱山は何かありそうでした
「やぁユウキくん昨日ぶりだねぇ。ここに何の用だい?」
「あんたは……」
そこにいたのはAnotherpartyのリーダーを務めていた男だ。
確か名前は……名前……。
「名前なんだっけ?」
「ん?あぁそういえば名前言ってなかったね。私は
「それで?ハヤトさんは何しに来たんだ?」
「先に質問したのは私のはずなんだけどねぇ……まぁいいだろう。私はこの鉱山を調査し、中で生息する魔獣と、その数を計測するクエストを受注したのだよ。それで君は?」
「僕が受けたのは魔鉱石の採集だよ。武器を作るのに必要で以前使ってた鉱山が廃坑になったから手持ちが無くなったんだと。」
「なるほどねぇ……それなら一緒に行かないかい?この鉱山には何かありそうだし、ソロは危険だろう?」
クロガネが居るから厳密には一人じゃないんだが……。
テイマーは従魔を合わせて一人とカウントするようだし変わらないのか?
「カイトはどう思う?」
「幻影魔法の跡がある。間違いなく危険だ。それでなくても鉱山は一人で行動するところじゃないからな」
〈
やはり幻影魔法の類が使われていたか。僕が先ほど来た時に入り口が分からなかったのはそれが原因だろう。
―――ガチャで〈
《排出一覧に、〈
そんなに上手くはいかないか。
まぁ予想でできてたけど。
《しかし、同系統の〈
……それ……どう違うんだ?
「じゃあ臨時パーティといこうか」
「決まりだね。皆もいいだろ?」
「「「問題ない」」」
「そういえば……君だけ名前聞いてないけどなんて言うの?」
「ボク?」
「うん」
「ボクは……カエデ……
「これで全員の顔と名前一致したかなぁ?」
ホントに気の抜ける喋り方するな……このリーダー……この人なんでリーダーやってんだろ?
「君……今失礼なこと考えたでしょ?」
「別に……」
さとりかよ怖いわ!!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「これ……全部魔鉱石なのか!?」
「いや……魔鉱石だけじゃねぇ!魔晶石もある。これはすげぇ……」
「キレイ……」
洞窟を進んだ先に、ドーム状の開けた空間が見つかった。
視線の先には溢れんばかりの魔鉱石と魔晶石の海。この山を丸ごと売ったら一体どれだけの金額がつくのだろうか。想像もできなかった。
今更だが、魔鉱石は魔力を豊富に含んだ鉄などの鉱石で、魔晶石は魔力が結晶化した物らしい。
「僕のクエストこれ回収したら終わりだし臨時パーティは解散でいいよなー」
ガシッ!!っと肩をハヤトに強くつかまれる。ちょっと痛い。
「逃がさないよォー」
なんでだよ!!
「せっかく会ったんだからもうちょっとおしゃべりしようよォ」
日本にいたころに見た某アニメの光の能力を使うグラサンを思い出した。
「それ素で喋ってんの?」
「いいや?キャラ作りだけど?」
「素じゃないなら止めてくれ。キモイ」
「ひっでぇー」
こんな馬鹿な会話をしつつ大量の魔鉱石を回収していく。
ここに来る前にバックパックを買っておいて正解だったな。これなら報酬額も上がりそうだ。
「今……何か聞こえなかった?」
そう言い出したのはカエデだった。
聞けばカエデの固有スキルは〈超脳力〉といい、脳の力をフルに使えるらしい。体にかけられたリミッターを外したり出来る……文字通りのチートである。
これを利用して、クエスト中はずっと嗅覚と聴覚を強化しているらしい。
すっごい疲れそうだから使いたくないけど。
「なにか来る。これは……コウモリ?」
「蝙蝠の魔獣か……キモイな」
「数は?」
「5匹だと思う」
「私がやります。〈
透明な水の弾丸がコウモリを貫通する。
「逃した!!」
「〈シングルショット〉」
瀬戸さんが逃した1匹を僕の放った矢が捉えた。
我ながら見事な連携プレーである。
「ぉぉー」
と何もしなかったリーダーが感心したように声をもらした。
「さて。僕はホントに帰りますよ。もう夕方になりますから」
「おう!おつかれー」
「また今度な」
何故か次も会うような流れになってるが、昨日の今日だ。きっとまたすぐに会うことになるのだろう。
そんなことよりクエストだ。早く帰ろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「魔鉱石15キロ……随分集まったんですね。」
「いや入ってすぐの所に沢山あったからね。楽だったよ」
「そうですか。それではこれでクエスト完了ですね。メビウスさんのお店に直接渡しに行きますか?」
「そうするよ。早く会ってみたかったしね。」
鍛冶師メビウス……会うのが楽しみだ。
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