(三)-6
数馬はさらに二歩下がった。さすがに引きながら剣撃を繰り出してくるとは予想しておらず、虚を突かれた格好になった。
やむを得ず両手で刀を握り、右内の方へ向けた。
ちょうどそのとき、「待たせた」と谷川左内が現れて数馬の隣に来て刀を右内へと向けた。そして「お主は、黒井右内殿か」と訪ねた。
数馬は左内の方を見た。その名前に聞き覚えがあったからだ。
南部藩で剣術修行をしていた頃、数馬はさらに修行を積みたいと考えていた。そのときの師範に紹介されたのが、黒井右内康郎であった。当時右内は旗本神保家に仕えていたが、その後江戸で各藩の藩士の師範を務めており、南部藩の江戸屋敷にも来て剣術を教えていた。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます