vsマクワ Turn‐2
マクワもその全容を拝むのは初めてだ。シルクロードは指を動かし、肉体の感触を確かめている。
「フフフ、クハハハ。よくやった。これで我も完全復活だ。褒めてつかわす。では、手始めに羽虫の始末と行こうではないか」
「バトル! 《メガモルフォーゼ・シルクロード》で《ムーン・ウルフ》を攻撃!」
「気を付けろよ、アオバ! 《キャタピラートルーパー》の効果で《シルクロード》のパワーとガードも上がってるからな!」
「分かってる!」
糸が《ムーン・ウルフ》の四肢に絡みつく。《シルクロード》が指をゆっくりと動かすとギリギリと糸が張り、悶えるほどに深く食い込んでいく。
「《メガモルフォーゼ・シルクロード》がバトルで相手アバターを破壊した時、ベースカードの数だけアオバの
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《メガモルフォーゼ・シルクロード》
┣━━━━━━━━━━{
●〔
■このアバターがバトルで相手アバターを破壊した時、発動できる:このアバターのカーネル以外のベースカードの数だけ相手の
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
アオバと《ムーン・ウルフ》を結ぶ糸は2本――――。
「マズッ……」
『ストリング・オブ・フェイト!!』
《ムーン・ウルフ》が四散すると同時にアオバのカーネルも吹き飛ぶ。
(××◆◆◆◆)アオバ VS マクワ(★◆◆◆)
「があっ……」
「いいぞ、実に心地よい断末魔だ。もっと喚け、泣き叫べ。死よりも恐ろしい恐怖を味わせなければ我の気が済まぬ」
「…………マクワ、いつまでこんな奴に従うつもりだ?」
「ずっとだ。アオホシ園を守るために必要なら」
「それで、サバサキが持ってるカードを食わせる? たかが知れている!」
「俺の全財産だぞ……」というサバサキの小言は無視して続ける。
「その後はどうする気だ? カードを持続的に供給しなきゃいけないんだろ」
「カナキー大森林に来るハンターを狙う。地の利はこっちにあるんだからそれくらい簡単でしょ。そう、イルミナティだ! イルミナティのせいにすればいい。犯罪組織の余罪が増えたところで誰も気に留める人なんていない」
血眼になって訴えかける姿からはいつもの冷静さは失われていた。到底受け入れられない提案にアオバも呆れてしまう。
「今のマクワをババアが見たら、きっと悲しむぜ」
「うるさい! アオホシ園の子どもたちは僕が救うんだ。アオバだって例外じゃない。アオホシ園を飛び出して好きに夢を追いかければいいじゃないか!」
「オレのためだって言いたいのか?」
「そうだ!」
アオバは握り拳を固める。
「…………勘違いするなよ、マクワ。オレはアオホシ園を捨てて、『
マクワは気圧される。
「……タ、ターンエンドだ。さあ、アオバのターンだよ」
「ターン終了時、《
《ムーン・ウルフ》の見るも無残な姿を前にしてポンっと術が解ける。ガタガタと震えながらその場に縮こまる。
「
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《
┣━━━━━━━━━━{
■【核醒】自分{《
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
「主と共に歩む希望の
スカートを揺らし、フィールドに降り立つ。強い味方に縋るように《
「
アオバから受け継いだカーネルをそっと胸の奥に取り込む。
(◆◆◆★)アオバ VS マクワ(★◆◆◆)
「頼んだぞ、《ねもね》! 一発強いのぶちかましてやれ!」
「はい!」
「バトル、《
『シードバレッド』
『妖狐変化の術』
光弾が舞う中、《
(◆◆◆★)アオバ VS マクワ(★×××)
「ターンエンド」
「どうして分かってくれないんだ…………」
マクワは伏したまま土を握る。
「代わりに誰かがこのアオホシ園を支えなきゃいけない。それは僕がやらなきゃいけないことなんだ!」
「何故、全てを一人で背負い込む必要があるのでしょうか?」
「そ、それは…………」
「マクワさんはアオホシ園のために尽くされています。世話に料理に掃除。感謝してもしきれないほどです」
「…………」
「もっとみんなを頼れ。オレならそうする。マクワも頼るし、ババアも頼る。誰か一人に押し付けようなんて考えてない。むしろ、《
「そうか、一人で空回りしていただけなのか……。僕はてっきり……」
「だって、マクワが居なくなったら、オレがやる羽目になるからな」
犬歯を見せるようにニシシと笑う。
「ハハハ、アオバらしいや。…………そうだな。もっと、みんなと話し合うべきだった」
憑き物が落ちたように清々しさに包まれる。
「……………………もう、終わりにしよう」
この戦いに意味は無くなった。マクワは
「貴様はそれでいいのか?」
《シルクロード》の糸が腕に食い込む。
「誰かを傷つけなくて済むなら、そっちの方がいいに決まっている」
「白紙に戻ったに過ぎぬ。より確実なプランが見えているのに現状維持を選択するとは、やはり人間は愚かだな…………仕方あるまい。ここからは我が引き継ぐ」
糸を伝って黒い
「てめえ、マクワに何する気だ!?」
「なに、抵抗されるのは面倒だから意識を奪ったに過ぎない。この戦いが終われば、用済みだ。合わせてそこの小娘も頂くとしよう」
するりと糸が解けても、虚ろな目をして動かない。
「お前、マクワに手を出したらどうなるか教えてやるよ!」
「残念だが、次は我のターンだ――――」
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