シンジケート//ソドムとゴモラ
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──シンジケート//ソドムとゴモラ
爆発が生じ、東雲が吹き飛ばされる。
内臓が潰れ、骨が折れ、それでも東雲は身体能力強化で押し切る。
「おらっ! くたばりやがれ、このクソッタレども!」
そして、東雲たちはエントランスに向かってきていたチャイニーズマフィアの極東道盟の警備要員を排除した。
他の警備要員たちは各階のフロアの警備を固めるので精一杯でる。
「上に行くべきか。それとも下に行くべきか」
「下からだな。地下は距離的に逃走しやすい。先に潰すべきだ」
「あいよ。そうしましょう」
東雲たちはホテルの地下に向けて進む。
清水が言っていたようにプールがあるのか塩素系消毒剤の臭いがしてきた。
「暗いな。照明をわざと落としてる。清水が言うには発展途上国から犯罪組織の手で人身売買を強いられている人間もいる。注意して攻撃しろ」
「了解」
東雲たちはゆっくりと階段を降りてき、地下室に入った。
「なんとまあ。地上の楽園って奴か?」
「ソドムとゴモラの間違いだろう」
地下室には天然の酒が揃ったバーが完備され、水着姿の女性バーテンダーがカクテルなど酒を全裸の客たちに渡してる。
客たちは男女ともにおり、それぞれ全裸に近い格好をした娼婦たちを連れていた。
女を抱き、酒を飲み、プールで寛いでいる連中の中には電子ドラッグを使用しているものも多数見られた。娼婦に電子ドラッグを強要している客もいる始末だ。
「ここにいる女たちが自由意志がここにいると思うか?」
「まさか。私がロサンジェルスにいたときも見たことがある。不法移民や財産を失った人間をこの手の性産業で搾取することはよくあった。低い賃金で性病のリスクや妊娠の恐れを抱えている」
こういうことをやらせる連中には反吐が出ると八重野が言った。
「じゃあ、派手にぶっ潰しますか」
東雲が“月光”を展開する。
「客とチャイニーズマフィアの構成員だけ殺せ。他は殺すな」
「ああ」
東雲たちが暗く、ピンク色のライトで照らし出された室内を進む。
「おい。上から連絡があった連中じゃないか」
「止まれ! 止まらなければ撃つぞ!」
チャイニーズマフィアの軽装の警備要員たちが東雲たちに向けてカービン銃や短機関銃を向けてくる。だが、ボディーアーマーも装備していない。タクティカルベストだけをスーツの上から装備してる。
「下種どもが。死ね」
八重野が警備要員に肉薄して超電磁抜刀を行い、銃火器ごと護衛要員を叩き切った。
「まだだ」
八重野は今回は超電磁抜刀せず己の力だけでヒートソードを振るう。
「いいぞ。その調子で叩き切っていこうぜ」
東雲も警備要員を相手に暴れまわる。
“月光”の刃が舞い、チャイニーズマフィアの警備要員を切り捨て、同時に放たれる銃弾を弾き続ける。
「畜生! 応援を要請する! 地下のフロアだ! すぐに応援を寄越してくれ!」
「通信機器が通じない! ハックされているぞ!」
チャイニーズマフィアの通信システムは八重野によってハックされていた。それによって無人警備システム同様に機能不全だ。
「お、おい! 揉め事が起きてるぞ!」
「警備は何をやっているんだ!?」
ホテルの客たちも混乱し、近くにいるチャイニーズマフィアの警備要員に泣きつく。
「黙って伏せてろ! 死にたいのか!」
「わ、私は客だぞ! 大金を払ったんだ! 殺されてたまるか!」
「なら、伏せて神様にお祈りしてろ!」
チャイニーズマフィアの警備要員は文句を言いに来た客をプールの中に蹴り落とし、東雲たちを必死になって銃撃し続ける。
地下のチャイニーズマフィアの警備要員は客を威圧しないように比較的軽装であったために東雲と八重野にやられて行くテンポは上の階にいたものよりも早かった。
次から次へと警備要員が殺されて行き、生き残った警備要員はバーカウンターに隠れて身を乗り出さずに銃だけ出して射撃する。
「その手の射撃は命中率が著しく落ちるぜ?」
東雲はにやりと笑うと銃が乱射されるバーカウンターに向けて“月光”を投射してバーカウンターごとチャイニーズマフィアの警備要員を叩き切った。
「クソ! クソ! サイバーサムライの化け物どもめ! てめえらなんて──」
「遺言を聞く気はない」
最後に残ったチャイニーズマフィアの警備要員を八重野が超電磁抜刀で切り捨てた。鮮血が舞い散り、プールに血飛沫が落ちてプールが赤く染まる。
「ひいっ!」
「た、助けてくれ! 金ならいくらでも払う!」
今度は全裸の客たちが慌てふためき始める。
「おやおや。そんなに金がポンと払えるってことはセクター13/6の人間らしくないな? 他のセクターからのお客様か? ルール無用のお楽しみに来たってわけだ。だがな、このセクター13/6にはルールがある」
「ル、ルールとは?」
「危険な目に遭ったら自分で自分を守れ。ここで全て自己責任だ。あんたらみたいなクズを助けてくれる大井統合安全保障はいないんだよ」
東雲はそう言って全裸の客たちを切り捨てていった。
「だ、誰か! 誰か!」
「わ、私は準
東雲が斬り殺していくのに客たちが叫ぶ。
「知るかよ。どうせあんたらがここで死んでも大井統合安全保障は捜査すらしねーよ。セクター13/6にある法は暴力だけだ」
東雲はそう言って全裸の醜い客たちを皆殺しにした。
「あー。気に入らないクズの金持ちを殺すのはすかっとするな。俺ってば共産主義の才能があるのかもしれない」
「共産主義も指導部と汚職役人だけが豊かになる歪んだ経済システムだ。人類が第三次世界大戦を引き起こした原因は共産主義において格差が膨らみ、それによって生じた不満を外に逸らすためだったのだからな」
「人間の運用するシステムは常に欠陥を抱えているか。理想郷のためにはそれこそAIにでも世界を委ねるしかないのかね」
東雲はそう愚痴って首のないまま座り込んでいた客の死体をプールに蹴り落とした。
「さて、生体認証の結果ここに極東道盟のボスである張敏はいなかった。客と一緒に楽しむタイプじゃないらしい。となれば?」
「この手の犯罪組織のボスは自分を過剰に飾り立てる。高級ブランド物のスーツや時計。美人の秘書。上質な酒とドラッグ。金メッキの銃。そして、その居城に相応しい立派なオフィス」
「最上階」
東雲がそう言って地下室から出る。
「エレベーターは使えねえかな」
「階段の方が無難だろう。エレベーターでは逃げ場がない」
「それもそうだな。またビルに上るのか。筋肉痛になりそう」
東雲は愚痴りながらホテルの最上階を非常階段で目指す。
「侵入者だ! 非常階段を上っているぞ!」
「迎え撃て!」
チャイニーズマフィアの警備要員が湧き出てきて、東雲たちに向けて銃を乱射する。おまけに手榴弾まで投げつけられ東雲が鉄片に切り裂かれる。
「クソッタレ! どの道、大井統合安全保障の強襲制圧部隊に皆殺しにされるんだからな! だから、大人しく今死んどけ!」
東雲は“月光”を高速回転させつつ、上階から銃撃を加えるチャイニーズマフィアの警備要員に向けて“月光”を投射する。
手榴弾のピンを抜いて投げようとしていた警護要員の首が飛び、手榴弾がその場で床に落ちて他の警護要員たちを巻き添えに爆発する。
「ざまあ!」
「東雲。大井統合安全保障の強襲制圧部隊が動くまで残り1時間だ」
「あーあ。じゃあ、テンポ上げていきますか」
東雲は身体能力強化に物を言わせて非常階段を駆け上る。
警備要員を次から次に斬り倒していく中、東雲はおかしなことに気づいた。
「俺の勘違いだったらいいんだが、相手は子供じゃないか?」
「子供だな。人身売買で売られてきたかストリートで拾われた人間だろう。今の武器は子供でも大の大人を殺せる能力を与える。第三次世界大戦では大量の子供兵が使用されているし、第三次湾岸戦争でも使われた」
「胸糞悪くなってくるぜ」
東雲は死体になっている13、14歳ほどの少年たちを見て吐き捨てた。
「だが、この手の二線級部隊を出してくるということは敵も追い詰められている証だ。これからはもっと早く進めるぞ」
「子供を殺しながらか? 全く、嫌な
「馬鹿馬鹿しい。敵は殺すべきだ。子供だろうと病人だろうと」
八重野がそう言って前進が再会した。
東雲たちは銃火器と手榴弾を次々に叩き込んでくる子供兵と警備要員の複合部隊を蹴散らしてついに最上階に到達した。
「八重野。俺が突っ込む。援護を頼む」
「任された」
東雲が非常階段の扉を蹴り破って突入し、すかさず八重野が突入する。
「来たぞ! あいつ、“毒蜘蛛”だぞ!」
「知るか! あれとて人間だ! ミンチにしてやれ!」
「撃て、撃て、撃て! 銃弾ならたっぷりある!」
「クソ、クソ! 当たらない! あのサイバーサムライ、どういう武器を使ってやがる! 軍で試験中のテレキネシスエネルギーウェポンか!?」
12名の
「八重野。3カウントで突っ込むぞ。やれるか?」
「ああ。行ける」
「じゃあ、3カウントだ」
3──2──1──。
「今だ! 突っ込め! ぶち殺せ!」
東雲が“月光”を高速回転させつつ、そのうち2本の“月光”の刃をチャイニーズマフィアの
「隙だらけだ」
八重野も東雲と同時に敵に切りかかり、相手を超電磁抜刀で仕留める。
「懐に飛び込まれた! 助け──」
「畜生! こいつら凄腕だぞ! 俺たちが戦った台湾陸軍の特殊作戦部隊よりも不味い相手だ! 相当機械化してるぞ!」
チャイニーズマフィアの警備要員は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄に叩き込まれた。
東雲の“月光”が舞い、八重野の“鯱食い”が放たれる。
警備要員は瞬く間に数を減らし、残り2名となった。
「ま、待ってくれ。降参する。助けてくれ」
「ああ? てめえらはガキに戦わせて自分たちは逃げようってわけか? 負け犬にもほどがあるだろ。大人しく有終の美を飾っておけ」
東雲はそう言って3名の警備要員を切り捨てた。
「さあ、ボスに会おうぜ」
「今、このホテルの構造物にある生体認証スキャナーをハックした。こっちだ」
八重野が案内するのに東雲がホテルの最上階を進む。
「この先だ」
「突っ込むぞ。殺すなよ。ジェーン・ドウは情報を欲しがってる」
「分かっている。それぐらい」
東雲が最上階にあるオフィスの扉を蹴り開け、中に踏み込む。
「ひっ!」
オフィスの中はなんとも東雲も呆れ生える光景だった。
全裸に近い露出度の多い水着姿の女性が十数名。彼女たちが怯えてへたりこんでおり、オフィスの主である張敏がブランド物のスーツに身を纏い、金メッキされた自動拳銃の銃口を東雲たちに向けている。
「来るな! 撃つぞ!」
「9ミリの鉛玉でどうにかなると思ってるのかよ、このクソ変態野郎」
「畜生」
張敏が9ミリの自動拳銃で東雲を銃撃するも銃弾は“月光”に弾かれる。
やがてマガジンの弾が付きて、トリガーが虚しい音を立てるだけになった。
「さて、覚悟しろよ。楽には殺してやらねーからな」
東雲はそう言って張敏の襟首を掴んで椅子から引き揚げ、床に叩きつけた。
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