ヒーローごっこ

櫻井 志

第1話 名のないヒーロー

 私の名前は、嘉藤 緋色(かとう ひいろ)女子高校生だ。

普段は、父の影響もあり、人助けをしている。

 父は警官、母はスーパーヒーローをしているらしいが、母がスーパーヒーローということが、私は、半分信じられない。


 半分信じられるのは、母が出掛けたあと、帰ってきたときに、顔や腕が傷だらけになっていることがあるからだ。 

もう半分が信じられない理由は、母が病弱だからだ。

病弱な人が、どうして、戦うことができるのかがわからない。

 そんなこんなで、僕は、不思議な家族を持っている。

自慢をしたくない、不思議な家族を。






~学校~

「ひい~ろ~、お・は・よ!」

「おはよう、阿嘉願。」

彼女の名前は橘 阿嘉願(たちばな あかね)

私の中学の頃からの、親友だ。

「聞いて、聞いて、ビックニュース!

2日前くらいに、陽菜ちゃんが、こないだ転校してきた悠希くんの告ったんだって!」

「阿嘉願、声大きいよ、もう少し静かに。」

「はーい。」

「はぁ、阿嘉願は、双子の明莉ちゃんと違って、大声だすタイミング考えたりしたいんだから、これじゃあ、私が親みたいじゃん。

気を付けてよ。」

「えへへ、ごめん😅」

「それで、悠希くんの返事は?」

「それが、🙅だったんだって。」

ヘエ~、あの学年三大美女の陽菜をねぇ。

「それでね、あと、2つニュースがあって、1つは、なんと、なんと、悠希くんと優花ちゃんと明莉は、幼馴染みだったんだって!

幼稚園の頃、一緒だった悠希くんだとは、私も思わなかったよ。」

「えっ?そうだったの?!それじゃあ、運命の出会い的なやつじゃん!スゴ!」

「うんうん!それで、あと1つは、昨日転校してきた心夏ちゃんと零夏ちゃんは、身内関係なんだって!」

「えっ?マジで?!

ほんとのビックニュースじゃん!」

そんな風に話題を膨らませている間に、休み時間が終わってしまった。

「阿嘉願、そろそろ戻んないと、まずいよ急いで!」

「ありがとう。またね。」






~下校時~

 学校が終わり、阿嘉願と別れて少しある気だしたその時だった。

「やめて!離して!」

阿嘉願の叫び声が聞こえた。

後ろを見ると、知らない中年のおじさんが、阿嘉願を車に連れ込もうとしていた。

私は、走って、阿嘉願のもとに向かった。

「阿嘉願を離して!」

大声で叫んだ。

「お前、誰だよ、ヒーローごっこですか?

えぇ?子供が大人に命令をするなよ!ヘ!」

おじさんが当たり前のようにいってくる。

命令するなだって?!

「緋色、た・す・け・て」

阿嘉願のその言葉を聞いて、何が覚醒した。

「阿嘉願をーはーなーせー!」


緋色の手がグーに変わり、おじさんを弾いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る