第4話 縛りプレイ


「と、とりあえず、やってみるか」


 バグっているみたいだけど、一番試したかった人が試せないのは面白くない。

 淡島さんを試したらアプリ消そう。


 さっきと同じ道具を使うのも面白くないから、【太い縄】を使ってみようかな。

 ちょっとレアリティもあるし。


「うーん」


 棒人間みたいなものに縄がかかる。

 亀甲縛りというやつに自動的になった。

 煽情的な感じになったら面白いんだけど、これじゃあ見た目的にはつまらない。


「身体部分がもっとリアルな絵だったらなあ……」


 縄に触るとギシギシとSEが鳴り、喘ぎ声が漏れるけど、絵面がシュール過ぎて情緒というものを一切感じない。


「あ、れ?」


 好感度のゲージがバグっているせいで分かりづらいが、右側に移動しているような気がする。

 さっきは左側にゲージが移動して好感度が下がっていたはずだ。

 なのに、今度は上がっている?

 どうして?

 これもバグなのか?


 好感度が下がっているのに、上がっているように見える。

 他のガチャアイテムも使ってみたくなる。


「爪剥ぎってやつがあるな……」


 そのままの意味で、爪を剥ぐ拷問道具のようだ。

 それを使用してみると、今度は悲鳴を上げる。

 そして、手から血が出るエフェクトが出る。


「――うわっ」


 これ年齢制限かかっているよな。

 流石に気持ち悪くなってくる。

 俺がやっているんだけど、この演出は棒人間になっているからギリ許容範囲内なんだろうか。

 よくゲームの審査通ったな。


「でも、流石に……」


 好感度が下がっているように見える。


 やっぱり、キャラによって好き嫌いがあるんだろうか。

 拷問に好きも嫌いもないとは思うが、こういうゲームってそれぞれ特性や趣味嗜好が違うのが鉄板だよな。


 でも、拷問道具のどれを使っても好感度が下がるように思えるんだけど。


「そういえば、道具以外にも会話って項目あったよな」


 会話の項目を押してみると、

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 →おはよう

  こんにちは

  こんばんは

  今、何しているの?

  趣味は何?

  休日は何をしているの?

  今日はいい天気だね

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ザッと見ただけでも相当数の選択肢がある。

 逆にこのゲームやりづらいな。


 せめて挨拶は挨拶でカテゴライズされていたら選びやすいのに。

 全ての項目で百個以上あるんじゃないのか?

 読みづらいし、選択しづらい。

 せめて十個以内の選択肢にして欲しかった。


「ん?」


 スクロールしていくと、最後の項目に、


『好きな質問を入力してください』


 と書いてあった。

 それをタップすると、140文字という制限はあるものの、文字が打てるようだ。

 俺は半信半疑になりながらも、


『好きな食べ物は何ですか?』


 と打つと、


『あなたの作った料理』


 と返って来た。


 ぶ、無難過ぎる。


 ここでハンバーグとかだったら、本人に聞いて嘘だと判明して出鱈目な答えを書いているって分かるのに。


 でも、自由な言葉を書いて、それが意味あるかのように返信がくる技術は凄いな。


 RINEとかでもこういう機能あるよな。

 アニメキャラに言葉を書いたら、それに反応するみたいな。


「他にはどんな反応するかな」


 これが最後と思いながらも、俺は何度も色んな言葉を書いていった。

 その度に好感度が上がっているような表示が出るのが楽しくて、あっという間に時間は過ぎていった。

 

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