第47話 貴方が来てくれて良かった―――アルグトール・フェフューカ

 本当に、貴方は素晴らしい方だ。

 前王は酷く残酷で残虐で、ギルジェディーラもかなりの物だった。

 以前、前王に連れられてギルジェディーラに向かった際の休憩時間を利用して歩き回っていた際に貴方にお会いしたのを覚えておいでだろうか。

 まだまだ小さな貴方。初めて会った私に、「鬼は力さえあれば許してもらえるんだから酷く生き易いだろうなぁ」と言われてしまった。

 まだ、カルストゥーラ様が王族だと知らなかった私は迷子か虐待かを疑い、保護しようと近寄ったが全力で逃げられてしまい、酷く混乱した物だ。

 その直ぐ後だ。ギルジェディーラの王と謁見し、あの子が王族であった事。あの子を追放したと聞いた事。

 それをもって私はようやっと竜人とは残酷な生き物なのだな、と知った。

 ……あの時の子供が、ここまで大きくなったのか。

 “人が嫌いだ” と言いつつも “牙を剥かない者には過剰に攻撃しない性格” は今も昔も変わらないが貴方のように、恐怖に打ち負けずに前へ進む事の出来る人が来てくれて本当に良かった。

 俺は殆ど前線で戦い、あまりお傍に控える事は難しいだろう。……それでも、帝国軍元帥として国ごとカルストゥーラ様をお守りしましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る