第10話 長の教え

 また新しい日の出を迎えた。


 マックスは操縦席にいた。


「王子、こんなに広大な吸収草原を見たことがありません」


「うん。人がたくさんいるんだろうね!」


「間違いないと思います」


「一度降りるか?」


「この地図の緯度経度があてになりませんから新しい地図がほしいです」


「うん。着陸」


 9機の空挺部隊が着陸体制は入った。まだ寝ていた人には乱暴な目覚ましになった。


(武力衝突を想定して空挺部隊を大きくしたが武力で劣っているであろう今、9機も必要ないのではないか。むしろ最小限度の部隊に組み替えるべき時ではないか)

 

とマックスは考えていた。


 例のごとく吸収草畑を避け、9機無事に着陸した。


 村人が集まってきた。


 武装兵に守られたマックスが降り立った。


「ジダン王国のマックス王子だ。話しがしたい。長をお願いしたい」


「わしが長だが、いらっしゃいとは言い難いね」


「突然、押しかけ申し訳ございません」


「いや、畑を潰さないでありがとう。お茶でも飲みながら、さあ、おいで」


「はい」


 マックスはアリアとモグを連れていった。


マックス「ここは何という国ですか?」


長「東の国だよ」


アリアはびっくりしてマックスを見つめた。


マックス「やはりそうでしたか。この村で何人が暮らしているのですか?」


長「3000を超えたよ」


マックス「質問攻めで申し訳ないのですか吸収草は足りているのですか?」


長「いや。難しくなってきたよ。畑を広げるよりしかなかろう。天候不良もあるから先は見えんよ!」


アリア「吸収木があるんでしょ?」

(その瞬間、ナイフをアリアの喉に突きつけた)

アリア「いゃ」


マックス「やめろ!」


長「お前さん方の目的は吸収木か?」


マックス「……そうだ」


長「やはりな」


そしてアリアを離した。


長「お嬢さん、すまんかったな。報告義務があって吸収木を捜している者の人数を国の下部機関に伝えなくてはいけないんじゃ。それも正確に……すまんかった。こんなことはしたくない……」


マックス「ナイフはお預かりします。アリア大丈夫か?」


アリア「うん。びっくりした。モグ守ってよ?!」


モグ「い~や~びっくりした!」


マックス「東の国は吸収木を発見したのですか?」


長「わからない。本当にあるかどうかもわからないんだ。東の国と言われてもその感覚も忠誠心もないんだよ。東の国は覇権ほしさにないものをあると偽っている可能性もあるんじゃないか?」


マックス「……ないと大変な時代になるぞ」


長「でもな若いの。吸収草と違って木は根を張っているから移動させるのは簡単ではないぞ。移動させたとしてもその土地に根付くとも限らん。売買するのは種子になるとわしはみている。」


アリア「吸収木を持つ国が種子の産出国で次の覇権を握るということですね!」


長「そうだ。いつの時代も図式はかわらん。そして結末もかわらんであろうな」


 マックスは考え込んでいた。いや、考えているふりをしていた。もう現実に思考が追いつかなかった。




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