第3話

「グランディア、落ち着きなさい」


「落ち着いてなどいられるものですか! 私の大切なティナによくもこのようなことを……今すぐこの城にいるもの全員を……」


「そこはすでに手は打ちました。兄上たちに任せなさい。あなたが今すべきことはティナのそばにいてやることです」


「兄上たちが……? それなら必ず犯人を捕まえてくれるでしょう。処分は私自ら行うとお伝えください。あぁ、ティナ……」


(え、あの、ちょっと待ってください! 私、死んでいません! 生きています!)


「そこでグランディア、あなたに見せたいものがあります」


「……なんでしょうか?」


 カタン、と何かが開けられた音がする。

 そして王妃様は殿下へと何かを渡したようだ。


「これは毎日ティナがつけていた日記です」


「日記、ですか……?」


(え、? えぇ!? 私の日記がなぜそこにあることを知っておられるのです!? ちょ、まさか王妃様……!? その日記をどうされるおつもりで……!?)


「グランディア、この日記を読んでみるといいでしょう」


「ですが、ティナの日記を勝手に見ることなどできません」


(そうです、見てはいけません! 恥ずかしいです!)


「ティナが毎日何を想い、暮らしていたのかあなたは知るべきです。きっとティナも気付いて欲しかったことでしょう」

 

「ですが……」


「………あ。そうだわ、ティナはもし自分が死んでしまったら、この日記をグランディアに見て欲しいと言っていました。えぇ、そう、確かに言っていました」


「ティナが……?」


(王妃様!? 私はそのようなことは言っておりません!)


「そうです。ティナの願いを聞いてあげるべきです。私はもう行きますから、ゆっくり読むといいでしょう」


 そう言い残し、王妃様は部屋から出て行った。


(待って、待って! 王妃様、なぜ嘘をつかれたのです……。私は日記を書いているとお話はしましたがまさか、そんな)


「ティナの日記、か……。なぁ、ティナ。私がこれを見てもいいのだろうか……?」


(いやいや、だめです! ぜったいにだめです! いいわけないですよ!?)


「そうか、許してくれるのか……ティナはやはり優しいのだな」


 グランディア様は私の頭を撫でながら勝手な解釈をする。


(いやいや私は許してません!)


 パラ、とグランディア様が日記を開いた。


(あーー!やめてくださいませ!)


 私の叫びなど届くはずもなく、グランディア様は日記を読み始める。

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