第2話呪われ子
起き上がると彼女のほかに何も見えない。夜の森は不気味でどこからか獣の唸り声が聞こえてくる。
私は正直言って怯えてしまい言葉が出ない。
「浅倉昇陽、いや昇陽、女神の仮初としてこの呼び方でいいですか?」
「ああ、それはいいけど、君は本で見る獣人なのか呼び方はナーゼで良いかな」
「いいですよ、あなたの好きだったぬいぐるみの名前そのままです」
「まず、スキルと魔法を確認してください」
「スキルと魔法?ゲームみたいだね」
暗い森の中で二人きり不安でしょうがない。
「どうすればいいですか?」
「あなたの心の呪いを表すのです」
わからないが集中するとステータス画面が出る。
昇陽レベル2 呪い師
HP20
MP50
力1
速さ2
体力2
器用3
魔力20
幸運0
スキル呪いレベル10
スキル鑑定レベル10
魔法火、水、風、土(呪われている)
耐性呪いレベル10
これが私の異世界のステータスだろうか、スキルの鑑定が10もある。
「特別に特典ですよ、昇陽、私を鑑定してください」
ナーゼレベル45 剣士
HP2065
MP5878
力220
速さ467
体力568
器用786
魔力457
幸運1045
スキル同期レベル10
スキル夜目レベル8
スキル鑑定レベル10
魔法火、水、風、土、光、闇
耐性呪いレベル10
耐性物理攻撃
耐性魔法攻撃
ナーゼの方が圧倒的に高い。女神の仮初だからな、スキルに呪いレベル10がある。何だろう。ナーゼにとって夜目レベル8なら昼間と変わらないだろう。しかも私の魔法呪われている。呪いが力だと説明された。それがヒントだろう。
しかし夜の森は怖い。「ナーゼ火魔法で明かりがつかないか、私は呪われているし光源が欲しい」
「いいですよ、『灯よ、光れ』」火の明かりが現れる。
ようやく、一息つけた。
「ナーゼ、ここはどこだ?食料も水もない、私はどうすればいい?」
「落ち着いて今の能力を把握するのです。呪われ子として獣や人はあなたの敵ではありません」
「どういう意味だ!?獣や人が敵じゃないなんて、ここはどこだ?」
「ここは国境の森の中ですよ、私は夜目が効くのでこちらに行きましょう」
手を引いてくれて、先を歩いてくれる。
本当に情けないが、十分わからないことだらけだったのである。
しばらく歩くと、動物の唸り声が近くで聞こえる。
灯りの照らし出す中に狼の群れと遭遇する。鑑定スキルでレベル5~10ある。
「困りましたね、狼の集団と当たったようです」
「どうする、ナーゼ!!?」
「戦いましょう、幸い格闘術くらい使えるので、囲まれていますよ、注意してください」
いきなり、右腕に激痛が走る。片腕を見ると狼が右腕に噛みついている。
痛い、痛すぎる、これは死んでしまうのではないだろうか、ナーゼは無事だろうか、武器もなしに狼をやっつけるなんて、銃もないのに……。
次々喉笛や足を食いちぎる狼の群れに意識は遠ざかる。
ナーゼは自分の来た分を蹴りで一蹴していた。狼の頭蓋は砕け、胴体は引きちぎり、牙は通らない。なんて強さだ。普通じゃない。ナーゼは強いな、と意識を手放す。
目を覚ますと、狼の死体が散らばっている。破片くらいの物もある。
自分の体は出血して、じゃない、どこも怪我していない。無事だ。ナーゼが回復魔法でもかけてくれたのだろうか?
ナーゼは微笑んで「言ったでしょう。あなたは呪われていると」
ナーゼの笑顔が怖い、不気味でしょうがない。私は狼に食われて死んだはず。喉笛から血まで出ていた。何故だろう。ひっかかる。答えは呪われている。呪い、死なない呪いだろうか、ナーゼに聞いてみる。
「ナーゼ、私の体は一体…………」
「話したでしょう、呪われていると、あなたの呪いは狼が喉笛を食いちぎっても、狼がその呪いを受ける。剣で切れば相手が同じ個所を、弓矢で頭を貫通されれば、相手が脳に傷を負います。不死に近いですが呪われていますね。そして呪いで死んだ肉体を従属させることが出来るのです。さあ、大量の狼の死体から戦士を作り上げましょう」
「狼の戦士、狼人か、漫画とか読んだことはあるけどそんな便利な能力が、私に……」
すると、狼の死体がずるずると集まって来て、人型の青い狼人の姿になる。中々強そうだ。首筋に青い狼の紋章がある。
「さあ、名前をつけてください。最初のあなたの騎士ですよ。呪いですがね」
「じゃ、じゃあ、クロウという名でいいかな」
黒い狼の獣人は跪き、「クロウと申します。以後よろしくお願いします」
日本語ではっきりと話す。これも異世界語に翻訳されているのだろうか?興味は尽きない。
「さあ、森を抜けて、街道に出ましょう。昇陽。クロウが一番の騎士ですが、私は相棒と思ってくれて構いません。これからもよろしくお願いします」
「わかった、よろしく、ナーゼ、クロウ」
「行きましょう」
「私が案内します。ついてきてください」クロウは街道まで道案内をしてくれるようだ。
呪われ子として災厄の騎士団の
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